賃貸の管理会社を変更するデメリット|オーナーの切り替え手順
管理会社を変えたいと考えたとき、多くのオーナー様が気にされるのが「変更したことで、かえって面倒が増えないか」という点です。実際、管理会社の変更でトラブルが起きるとすれば、その大半は旧管理会社から新管理会社へ切り替わる数週間〜数ヶ月の「隙間」に集中します。逆にいえば、その隙間で何が受け渡されるのかを先に把握しておけば、デメリットの多くは事前に防げます。
この記事は、岡山市・倉敷市で賃貸管理と空室対策を行う満室本舗(株式会社ログリンク)が、オーナー様向けにまとめたものです。「そもそも変更すべきかどうか」を迷っている段階の方は、当社の別記事空室が続くとき管理会社を変更するタイミングと判断基準もあわせてご覧ください。本記事は、変更すると決めた後にデメリットを実際に起こさないための段取りに絞ってお伝えします。
管理会社の変更で起きやすいデメリットは「切り替えの隙間」に集中します
管理会社を変えること自体が物件の価値を下げるわけではありません。デメリットとして表面化するのは、引き継ぎの抜けと、契約条件の見落としという2つだけです。どんな形で表れるのかを、先に具体的に押さえておきましょう。
- デメリットの発生源は「情報の受け渡し」と「契約書の条項」の2つに絞られる
- 引き継ぎ漏れは、書類の一覧を先につくれば大部分を防げる
- 費用の重複は、解約予告期間と管理開始日をそろえることで避けられる
- サブリース契約は通常の管理委託契約と前提が異なるため、別扱いで考える
引き継ぎ漏れで起きること
- 入居者への連絡が行き届かず、家賃の振込先を旧口座のまま送金してしまう
- 鍵・合鍵の本数や保管場所が分からなくなり、内見や緊急対応で手間取る
- 過去の修繕履歴や設備の保証書が渡されず、同じ不具合を一から調べ直すことになる
- 入居者ごとの契約書・更新日・保証会社の加入状況が不明で、更新業務が止まる
- クレームや近隣トラブルの経緯が共有されず、対応が振り出しに戻る
いずれも「書類と情報が渡っていない」ことが原因です。何を受け取るべきかを先に一覧化しておけば、避けられる性質のものです。
契約と費用の面で起きること
- 解約予告期間を満たさず解約したことで、予告期間分の管理料や違約金が発生する
- 旧管理会社への支払いと新管理会社への支払いが一時的に重なる
- 敷金の預り金や未精算の原状回復費の受け渡しが曖昧なまま残る
- 集金代行や保証会社の契約が切り替わり、入居者側の手続きが必要になる
費用面の具体的な内訳は、当社がまとめた賃貸管理会社の乗り換え費用|違約金と実費の見方がわかるで項目ごとに整理しています。
心配されがちですが、通常は起きないこと
ご相談の場で多いのが、変更そのものが入居者に不利益を与えるのではないかというご心配です。整理しておくと、次の点は管理会社が変わっても原則として動きません。
- 入居者との賃貸借契約は貸主と入居者の契約であり、管理会社が変わっても契約は継続します。契約を結び直す必要は原則ありません
- 家賃の金額や契約期間、更新日が、管理会社の変更を理由に自動的に変わることはありません
- 入居者から改めて敷金や礼金を受け取るような扱いは生じません
つまりデメリットの実体は「入居者が離れること」ではなく、情報と入金の流れが一時的に途切れることです。ここを止めない段取りを組むことが、この記事の主題になります。
変更で改善することと、変更しても動かないこと

管理会社を変えれば不満がすべて解消するわけではありません。何が改善の対象で、何が対象外なのかを先に分けておくと、変更するかどうかの判断そのものがぶれにくくなります。
変更で改善が見込める領域
- 募集の見せ方(写真の質と枚数、間取り図、掲載しているポータルサイトの範囲)
- 報告の中身と頻度(入出金の明細、点検や巡回の記録が届いているか)
- 問い合わせや入居者対応のレスポンス、夜間・休日の受付体制
- 空室が続いたときに、値下げ以外の提案が出てくるかどうか
変更しても動かない領域
- 立地、駅や勤務先までの距離、周辺の競合物件の数
- 建物の築年数や躯体の状態、間取りそのもの
- エリアの家賃水準。相場から離れた条件のままでは、会社を変えても反響は増えにくくなります
この線引きをせずに変更すると、切り替えの手間だけかかって不満が残ることになります。募集条件が相場と合っているかは、当社の家賃相場の調べ方|空室が続くとき、下げる前の見直し順で確かめ方を整理しています。物件そのものの弱点を洗い出したいときは、岡山のアパート経営|空室が長引く物件の共通点と見直す順番もあわせてご覧ください(いずれも当社サイトの記事です)。
なお、当社のサービスサイトでは、質問に答えるだけで空室が長引くリスクの傾向を確認できる満室本舗の空室長期化リスク診断(無料)をご用意しています。当社へのご相談窓口を兼ねたページですので、その前提でご利用ください。
変更前に必ず読み返す書類と条項

デメリットを防ぐ作業のほとんどは、手元の書類を読み返すだけで完了します。着手する前に、次の4点を必ず確認してください。
- 管理委託契約書の解約予告期間(何ヶ月前の通知が必要か)
- 中途解約時の違約金・精算条項の有無
- 敷金・保証金の預り主体(管理会社が預かっているか、オーナー口座か)
- サブリース(一括借上げ)契約かどうか。該当する場合は解約の条件が大きく異なります
解約予告期間と違約金
管理委託契約は、一定期間前の書面通知を解約の条件とする内容が一般的です。当社が岡山市・倉敷市でオーナー様の契約書を確認する範囲では、3ヶ月前予告としている契約が多く見られます。ここを読み飛ばすと、新旧2社に同時に費用を払う期間が生まれます。まずは契約書の該当条項を写真に撮っておくだけでも、その後の話が早く進みます。
敷金と原状回復の精算が残っていないか
見落としが多いのが、切り替え時点で精算の終わっていない退去分です。退去済みだが原状回復の請求が確定していない部屋がある場合、費用の負担区分の考え方を新旧でそろえておかないと、あとから話が食い違います。負担区分の基本的な考え方は、当社の原状回復のガイドラインで大家負担になる範囲と、経過年数の考え方にまとめています。
サブリースの場合は扱いが変わります
一括借上げ(サブリース)は、オーナー様が貸主、サブリース会社が借主という賃貸借契約です。借地借家法の適用を受けるため、オーナー様側からの解約には正当事由が必要になるなど、通常の管理委託契約とは前提が異なります。該当する場合は、自己判断で通知する前に契約書を持って専門家に相談してください。契約書のどこを見るかは、当社のサブリースの解約方法|オーナーが契約書で見る5項目で整理しています。個別の契約が解約できるかどうかの判断は法律の問題になりますので、弁護士へご相談ください。
デメリットを起こさない切り替え手順

変更を安全に進める最大のコツは、順番を守ることに尽きます。先に旧管理会社へ解約を告げてしまうと、受け皿が決まらないまま予告期間だけが進みます。
- 管理委託契約書で解約予告期間・違約金・敷金の預り主体を確認する
- 新しい管理会社の候補と面談し、募集方法・報告体制・費用の内訳を確認する
- 新管理会社との契約内容を固め、管理開始日を決める
- 管理開始日から逆算して、予告期間を満たす日に旧管理会社へ書面で解約を通知する
- 引き継ぎ項目(後述)のリストを作り、受け渡しの担当と期日を決める
- 入居者へ管理会社変更と新しい連絡先・振込先を書面で通知する
- 管理開始日以降、最初の月次報告で入金と残高が合っているかを照合する
引き継ぎリストに入れる項目
| 区分 | 受け取るもの |
|---|---|
| 契約関係 | 入居者ごとの賃貸借契約書、更新日、保証会社の加入書類、連帯保証人情報 |
| お金 | 敷金・保証金の預り明細、当月家賃の入金状況、滞納者の経緯と残高 |
| 建物 | 鍵の本数と保管状況、修繕履歴、設備の保証書、消防設備や貯水槽の点検記録 |
| 募集 | 現況の募集条件、間取り図データ、掲載中のポータル情報 |
| その他 | クレーム・近隣トラブルの経緯、駐車場の区画割当 |
入居者への通知に書いておくこと
入居者への案内は、内容が不足していると問い合わせが集中します。次の項目を1枚にまとめておくと、切り替え当月の混乱を減らせます。
- 管理会社が変わる日付と、新しい管理会社の名称・連絡先
- 家賃の新しい振込先と、切り替わる月(旧口座へ入金してしまった場合の連絡先も添える)
- 設備故障や緊急時の連絡先が、いつからどちらになるか
- 賃貸借契約の内容は変わらない旨(家賃・契約期間・更新日はそのまま)
受け渡し後の確認は月次報告で行います
書類を受け取って終わりにせず、切り替え後の最初の1〜2ヶ月は入金と残高の照合まで行ってください。当社では毎月の定期報告書(集金レポート・点検報告)をお渡ししていますので、引き継いだ敷金や滞納残高が帳簿とそろっているかを、この報告書で突き合わせていただけます。
なお、賃貸住宅管理業者には「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(賃貸住宅管理業法/2021年6月全面施行・国土交通省)により、財産の分別管理や委託者への定期報告などが義務づけられています。同法にもとづく登録の有無は、国土交通省の登録事業者情報で確認できます。当社(満室本舗)も賃貸住宅管理業 国土交通大臣(1)第001348号として登録しています。
旧管理会社の対応が鈍いときの備え
解約を伝えた後に連絡が返りにくくなる、書類がなかなか届かないという状況は、実際に起こり得ます。対抗策の中心は、交渉ではなく「自分の手元に情報を持っておくこと」です。
先に自分でそろえておけるもの
- 入居者ごとの賃貸借契約書の写し(オーナー控えがあるか確認しておく)
- 直近1年分の送金明細・月次報告書のデータ
- 建物の図面、消防設備点検や貯水槽清掃の報告書
- 掲載中のポータルサイトの募集内容(画面を保存しておく)
これらは解約を伝える前に依頼したほうが、平時の業務として受け取りやすくなります。書類は、解約を告げる前に集め始めるのが現実的です。
それでも進まないとき
- 依頼と回答はメールや書面など、記録が残る方法に切り替える
- 受け渡しの項目・担当者・期日を一覧にして共有し、済んだものから消していく
- 旧管理会社とのやり取りを新管理会社に代行してもらえるかを、契約前に確認しておく
- 敷金の返還など金銭の争いに発展しそうなときは、弁護士へ相談する
当社にお預かりする場合は、現管理会社への連絡と入居者への通知手続きを当社で代行します。オーナー様に間に立っていただく負担を減らせる進め方です。
費用と期間はどれくらい見ておくか
変更にかかる負担は契約内容によって幅があるため、一律の相場を示すことはできません。ご自身の契約書に当てはめて、次の考え方で見積もってください。
期間は解約予告期間がそのまま目安になります
- 期間:解約予告期間がそのままリードタイムになります。予告が3ヶ月なら、決断から管理開始まで3ヶ月前後を見込むのが現実的です
- この期間は「待ち時間」ではなく、写真撮影や募集資料の作り直しなど、次の募集の準備にあてられます
費用は契約書の条項で決まります
- 費用:予告期間中の管理料、違約金(定めがある場合)、振込手数料、鍵や書類の引き渡しにかかる実費などが該当します
- 新管理会社側で発生する費用の有無は、契約前に内訳を書面で確認してください
- 管理料以外に定期清掃や消防設備点検などの維持管理費が別途かかるかどうかも、あわせて確認しておくと総額を比べやすくなります
当社に切り替える場合の進め方
当社の場合、現管理会社への連絡や入居者への通知手続きはすべて当社で代行しますので、オーナー様にお願いするのは解約書類へのご署名です。契約から管理開始までは通常3ヶ月程度で、その間に物件写真の撮影と物件専用ホームページの制作を進め、管理開始日までに募集を動かせる状態を整えます。また、当社は空室の部屋には管理手数料をいただかないため、切り替え期に空室が残っていても管理料の負担は増えません。管理料以外にご負担いただくのは、振込手数料と、ご希望に応じた維持管理費用(消防設備点検・定期清掃・貯水槽清掃など)です。※空室が埋まるまでの期間や結果は、物件の立地・状態により異なります。
次の管理会社を選ぶときに確かめる基準

変更後に同じ不満を繰り返さないためには、会社名ではなく確認項目で比べることが大切です。面談の場で、次の点を具体的に質問してみてください。
契約・お金まわりの確認項目
- 賃貸住宅管理業の登録があるか(登録番号を確認し、国土交通省の登録事業者情報と照合する)
- 管理料に含まれる業務と、別途費用になる業務の線引きが書面で示されるか
- 空室期間中の管理料の扱いがどうなっているか
- 解約するときの予告期間と違約金の定め(次に変えるときの条件でもあります)
募集・対応面の確認項目
- 空室が続いたときに、家賃の値下げ以外にどんな打ち手を提案するか
- 写真や間取り図、掲載するポータルサイトの範囲を誰が用意するか
- 他社の仲介会社にも紹介してもらえる形で情報を出しているか
- 報告書の実物を見せてもらえるか(入出金と点検の記録が載っているか)
- 夜間・休日の緊急連絡をどこが受けるか
当社の場合は、プロカメラマンによる建築用カメラでの物件写真撮影、物件専用ホームページの制作、募集資料・チラシの制作、SUUMO上位PR枠への掲載代行を管理業務の中で行っており、これらに別途費用はいただいていません。入居者の仲介手数料も0円としています。緊急対応は24時間365日の電話受付でお受けします。募集情報が仲介会社に届いているかが気になる場合は、当社の賃貸管理会社の囲い込みとは|両手仲介の仕組みを知るもご確認ください。
物件の状況によってデメリットの出方は変わります
同じ手順で進めても、気をつけるポイントは物件の埋まり具合や引き継いだ経緯によって変わります。ご自身の物件が近いものを確認してください。
満室に近い物件
入居者への通知と振込先変更が主な作業になります。誤送金を防ぐため、通知は管理開始日の1ヶ月ほど前に書面で行い、旧口座への入金があった場合の取り扱いも新旧で決めておくと、問い合わせが分散しにくくなります。あわせて、緊急時の連絡先がいつからどちらになるのかも明記しておきましょう。当社は24時間365日の電話受付と緊急対応を行っていますので、切り替え日以降の夜間の設備トラブルもそのままお受けできます。
長期空室を抱えている物件
切り替え期間中も募集は止められません。旧管理会社のポータル掲載が消えてから新しい掲載が始まるまでの空白をつくらないよう、掲載の切り替え日を先に合わせておきます。募集条件を見直すなら、家賃を下げる前にできることを検討する順番が有効です。考え方は家賃を下げずに賃貸空室を埋める方法と見せ方(当社の記事)にまとめています。室内の手当てにかける費用の考え方は、同じく当社のアパートリフォームの費用対効果|空室は塗装と部品交換で狙うが参考になります。
当社が岡山市北区津高のRC造アパート(築30年・1K・25部屋、ご相談時は13部屋が空室)をお預かりした際は、募集条件の見直し、予算を抑えたリフォームと清掃、入居者の仲介手数料0円、ポータル掲載の改善、ターゲットを社会人女性に絞った内装を組み合わせ、6ヶ月で満室となりました。※結果は物件の立地・状態により異なります。
相続などで引き継いだばかりの物件
そもそも書類が手元にそろっていないことが多く、引き継ぎリストの作成自体が資産把握を兼ねます。急いで変更するより、まず現況を整理する順番をおすすめします。手順は当社の相続したアパートの空室経営、始め方の手順にまとめています。名義や相続の手続きそのものについては、司法書士・税理士など専門家にご確認ください。
駐車場や設備更新の予定がある物件
駐車場の区画割当や、給湯器など近く交換時期を迎える設備がある場合は、引き継ぎ時点の状況を書面で残しておくと、その後の判断が早くなります。区画の扱いは当社のアパートの駐車場経営、空き区画を外部に貸す前の確認点、設備更新の費用の見方はアパート 給湯器 交換 費用|見積書で見る3つの変動要因で整理しています。外観の傷みが気になる場合はアパートの外壁塗装の費用|空室が続くときの優先順位もご覧ください(いずれも当社サイトの記事です)。
変更を急がない方がよい場合もあります
デメリットを避けるという観点では、変更をいったん保留にした方が結果的に得になる場面もあります。次に当てはまるときは、一度立ち止まって考えてみてください。
- 不満の原因が管理会社ではなく、募集条件や室内の状態にある可能性が残っているとき
- 大規模修繕や入居者トラブルの対応が進行中で、途中で担当が変わると不利になるとき
- 繁忙期の直前で、切り替え作業に募集の手が取られる恐れがあるとき
- 売却も選択肢に入っていて、保有を続けるかどうかがまだ定まっていないとき
時期の考え方については、当社の賃貸管理会社の変更タイミング|繁忙期から逆算して決めるで逆算の仕方を整理しています。保有か売却かで迷っている段階であれば、アパート売却のタイミング|満室か空室かで変わる判断材料が比較の材料になります。日々の共用部の状態が気になる場合は、当社のアパート共用部の清掃業者の選び方|空室対策から逆算するもご覧いただけます。
管理会社の変更は、目的ではなく手段です。「何が改善されれば納得できるのか」を先に言葉にしておくと、切り替え後の評価もぶれません。そのうえで、上の手順に沿って書類と日程を押さえれば、変更に伴う不利益は大部分を避けられます。
管理会社を変更すると入居者に迷惑がかかりますか
今の管理会社に解約を伝えるのは、次の会社を決める前と後のどちらですか
解約するときに違約金は必ずかかりますか
引き継ぎで受け取り忘れやすい書類は何ですか
管理会社を変えれば空室は埋まりますか
