アパートの外壁塗装の費用|空室が続くときの優先順位
所有するアパートの外壁が色あせてきた、ひび割れが目につくようになった。そろそろ塗り替えかと思っても、はじめに気になるのは「いくらかかるのか」、そして「そのお金をかける価値があるのか」だと思います。この記事では、見積金額がどう積み上がるのかという仕組みから、規模ごとのおおまかな目安、そして空室対策全体のなかでどれくらい優先すべきかという順番まで、順を追って整理していきます。
アパートの外壁塗装の費用は「塗る面積×単価+足場」で決まります

外壁塗装の見積金額は、建物の坪数や戸数そのものではなく、実際に塗る面積と、足場をかける面積のふたつでおおよそ決まります。同じ8戸のアパートでも、横長の2階建てと、細長い3階建てでは外壁の面積が変わるため、金額も変わります。まずはこの構造を押さえておくと、見積書を見たときに「なぜこの金額なのか」を自分で追えるようになります。
見積書に並ぶ主な費目
- 足場・養生:建物の周囲に組む仮設の費用。塗装そのものとは別に必ずかかります
- 高圧洗浄:汚れやコケ、古い塗膜を落とす工程
- 下地補修:ひび割れの補修、サッシまわりや目地のシーリング(コーキング)の打ち替え
- 塗装本体:下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本の構成です
- 付帯部塗装:雨樋、破風(はふ)、庇(ひさし)、鉄製の外階段や手すりなど
- 諸経費・廃材処分費・現場管理費
このうち見落としやすいのが足場と付帯部です。アパートは外階段や共用廊下の鉄部が多く、戸建てに比べて付帯部の量が増えやすい建物です。「外壁塗装の坪単価」だけで比べると、実際の総額とずれていきます。
塗る面積は延床面積からは正確に出せません
概算の段階では、延床面積に一定の係数をかけて塗装面積を見込む方法が使われることが多いようですが、これはあくまで机上の概算です。開口部(窓やドア)の数、バルコニーの形状、建物の凹凸によって実際の面積は変わります。正確な金額は、図面の確認と現地での実測を経た見積もりでしか出ません。電話やメールだけで総額を即答する会社があれば、その根拠を確認したほうがよいところです。
規模別のおおまかな目安
以下は、建物の規模が大きくなるほど足場と塗装面積が増えるという関係を、イメージしやすい形にしたものです。金額の幅は塗料のグレードや下地の傷み具合で大きく動くため、確定した相場ではありません。必ず現地調査を伴う見積もりで確認してください。
| 建物の規模 | 費用感の考え方 | 金額が動きやすい要素 |
|---|---|---|
| 木造2階建・6戸前後 | 足場と塗装のシンプルな構成。アパートの外壁塗装としては小規模な部類 | 塗料のグレード、鉄骨階段の有無 |
| 2階建・8〜10戸 | 外壁面積と付帯部が増え、上の規模より一段上がる | 共用廊下の防水、シーリングの打ち替え量 |
| 3階建・12戸以上 | 足場の段数が増え、仮設費の比重が大きくなる | 足場の設置条件、屋上防水を同時に行うか |
同じ戸数でも、下地が健全な建物と、シーリングが切れて雨水が回っている建物とでは、補修工事の量がまったく違います。金額の幅は主にここから生まれます。
費用が上下する5つの要因
見積金額の差を生む要因は、おおむね次の5つに整理できます。相見積もりで金額が食い違ったときは、この5点のどれが違っているのかを見ると理由がつかめます。
- 塗料のグレード:ウレタン、シリコン、ラジカル、フッ素などの種類があり、一般に耐候性が高いものほど単価も上がります。次の塗り替えまでの期間と合わせて考える項目です
- 階数と建物形状:階数が増えれば足場の量が増えます。凹凸の多い建物は施工の手間もかかります
- 下地の傷み具合:ひび割れ、塗膜の剥がれ、鉄部のサビ、シーリングの劣化。補修量が増えるほど総額は上がります
- 付帯部と防水の範囲:外階段の防水、共用廊下の長尺シート、屋上やバルコニーの防水は、外壁塗装とは別の工事です。見積書で分けて記載されているか確認します
- 足場の設置条件:隣地との距離が近い、駐車場をふさがないと組めない、道路使用許可が必要といった条件があると費用や工程に影響します
特に4つ目は金額差の原因になりやすい部分です。A社は屋上防水を含み、B社は含まないという状態のまま総額だけを比べると、判断を誤ります。
やる価値があるか|空室とのつながりで優先順位をつける
外壁塗装は、建物を守る工事であると同時に、募集広告に載る写真の見え方を変える工事でもあります。ただし、空室が埋まらない原因が外観にあるとは限りません。まず「今の空室の原因はどこにあるのか」を切り分けてから、塗装の順番を決めるのが現実的です。
外観は、内見に来る前の段階で見られている
入居希望者は、ポータルサイトの写真と間取り図で候補を絞り、そのうえで内見先を決めます。外観写真の色あせや汚れは、この絞り込みの段階で目に入ります。私たちが岡山市・倉敷市で現地を見てきたなかでも、外壁そのものより、共用部の蜘蛛の巣、ポストにたまったチラシ、ゴミ置き場の散らかりのほうが印象を左右していた物件は少なくありません。清掃で改善する部分と、塗装でなければ直らない部分は分けて考えられます。
家賃を下げる判断は、塗装の前でも後でもない
空室が続くと家賃の値下げが選択肢に上がりますが、下げる前に確認できることがあります。周辺の競合物件がどんな条件で募集しているかを見てから、条件と設備と外観のどこに差があるのかを見極める順番です。手順は家賃相場の調べ方|空室が続くとき、下げる前の見直し順にまとめています。
- 外壁塗装の金額は「塗装面積」「足場」「下地補修の量」でほぼ決まる
- 雨漏り、シーリング切れ、鉄部の腐食は、空室対策より先に手を打つ範囲
- 空室の原因が室内設備や募集条件にあるなら、そちらが先
- 屋上防水や共用廊下の防水は外壁塗装とは別工事。見積書で分けて確認する
- 相見積もりは総額ではなく、工事範囲をそろえてから比べる
塗装を先にすべきケースと、後回しでよいケース

優先順位は、建物の安全にかかわるかどうかで線を引くと判断しやすくなります。
先に手を打ちたい状態
- 雨漏りが出ている、室内の壁にシミがある
- サッシまわりのシーリングが切れている、隙間が見える
- 外階段や手すりの鉄部にサビが進み、塗膜が浮いている
- 外壁を手でこすると白い粉が大量につく(チョーキング)、ひび割れが広がっている
これらは放置すると補修範囲が広がり、結果として工事費が増えていく部分です。特に鉄部の腐食は入居者の安全に直結します。
塗装より先に効く対策があるケース
- 掲載写真が暗い・枚数が少ない、間取り図が古いまま
- 給湯器やコンロなど、日常に直結する設備が古い(アパート 給湯器 交換 費用|見積書で見る3つの変動要因)
- 退去のたびの原状回復の範囲が整理できていない(原状回復のガイドラインで大家負担になる範囲と、経過年数の考え方)
- 数年以内に売却を検討している。その場合は工事費の回収期間と売却時期の関係から考えます(アパート売却のタイミング|満室か空室かで変わる判断材料)
見積もりを取るときの確認項目
複数社から見積もりを取るときは、金額の前に工事範囲をそろえることが先です。次の項目が書面で確認できるかを見てください。
- 現地調査を行い、実測にもとづいた面積が記載されているか
- 各工程の「数量(㎡)×単価」が書かれているか。「外壁塗装一式」だけの見積書は比較ができません
- 塗料のメーカー名・製品名・塗り回数が明記されているか
- シーリングは「打ち替え」か「増し打ち」か。どちらかで費用も耐久性も変わります
- 足場の面積と単価、養生の範囲
- 屋上・バルコニー・共用廊下の防水が含まれるか、別かの区別
- 保証の対象範囲と期間、保証書の発行有無
- 入居者への事前告知、洗濯物や駐車場の扱い、工事中の連絡窓口
入居中のアパートでは、工事そのものより入居者対応が満足度を左右します。着工前の告知文の配布、洗濯物が干せない期間の案内、足場による防犯面の配慮まで説明できる会社かどうかは、見積もり段階の質問で見えてきます。
費用の準備と、修繕費として扱えるかの考え方
外壁塗装の費用は金額が大きいため、資金の手当てと税務上の扱いが気になるところだと思います。一般的な仕組みとしては、建物の維持のために行う原状回復的な工事と、建物の価値や耐久性を高める工事とでは、会計上の扱いが分かれるとされています。ただし、どちらに当たるかは工事内容ごとの個別判断になります。金額の区分や申告の扱いは、必ず顧問の税理士に確認してください。当社は宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者であり、税務の個別判断は行いません。
また、台風や飛来物による破損など、自然災害が原因の損傷については火災保険の対象になる場合があります。加入している保険の内容によって異なるため、保険会社または代理店への確認が先です。「保険で工事費をまかなえます」と先に断言する業者には、根拠を確認したほうがよい場面があります。
修繕の周期については、国土交通省が公表している長期修繕計画作成ガイドライン(分譲マンション向け)のなかで、外壁の塗り替えを十数年単位の周期で見込む考え方が示されています。賃貸アパートにそのまま当てはまるものではありませんが、計画を立てるときの下敷きにはなります。実際の時期は、建物の立地(海沿い・日当たり・風当たり)と現状の劣化具合で判断することになります。
当社が岡山市・倉敷市のオーナーさんにお伝えしていること
満室本舗(株式会社ログリンク)は、岡山市・倉敷市を対象に賃貸管理と空室対策を行っています。リフォームのご相談では、全面改修ありきではなく、塗装や部品交換で済む範囲を先に切り分ける提案をしています。かけた費用が募集にどう返ってくるかを一緒に見ていくためです。
あわせて、当社の管理物件では建築用カメラを使ったプロカメラマンの撮影と、物件専用ホームページの制作を無料で行っています。外壁を塗り替えたなら、その状態がきちんと伝わる写真に差し替えなければ募集には反映されません。過去には、他社から家賃の値下げを勧められていた長期空室の物件で、写真と専用ホームページを作り直したことで反響が増え、早期に成約に至った例もあります(※結果は物件の立地・状態により異なります)。
「そもそも今の空室の原因が外観なのか、条件なのか分からない」という段階であれば、当社が運営している満室本舗の空室長期化リスク診断(無料)で、質問に答える形で現状を整理していただけます。自社サービスへのご案内ですが、診断だけのご利用でも構いません。お電話は086-250-7130(10:00〜18:00・水日祝休)で承っています。
よくある質問
外壁塗装はどのくらいの周期で必要になりますか
入居者がいる状態でも外壁塗装はできますか
見積書が「外壁塗装一式」としか書かれていません。どう見ればよいですか
足場代を安く抑える方法はありますか
外壁を塗り替えれば家賃を上げられますか
