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2026年8月25日

アパートリフォームの費用対効果|空室が続くときの回収月数

「空室が長引いているから、そろそろリフォームしようか」。そう考えたとき、いきなり内装一式の見積もりを取ると、想像以上の金額が出てきて手が止まってしまうことがあります。ここで整理したいのは、かけた費用が家賃で何か月分で戻るかという一点です。全面改修でなくても、塗装と部品交換だけで印象が変わる部屋は少なくありません。この記事は、築20〜30年前後のアパートで空室が続いていて、なるべく費用を抑えて決めたい方に向けて、岡山市・倉敷市で賃貸管理と空室対策を行っている満室本舗(株式会社ログリンク)が書いています。

工事の前に、決まらない理由を切り分ける

費用対効果を考えるうえで最初にやるべきことは、見積もりを取ることではありません。オーナーご自身がなぜこの部屋が決まっていないのかを仮説として言葉にすること、これが出発点になります。

「部屋の中」か「募集のしかた」か

原因が部屋の中にあるなら工事費が効きますが、募集のしかたにあるなら、いくら工事をしても反響は動きにくくなります。まず案内に同行するか、ご自身でスマホの写真を撮って募集図面と見比べてみてください。内見した人が見る情報と、ポータルサイトに出ている情報のギャップが、そのまま原因になっていることがあります。

当社が現場で見つけてきた原因の実例

当社が空室のご相談を受けて調べていくと、部屋そのもの以外に理由があるケースがかなりあります。実際によく見つかるのは次のようなものです。

  • 家賃・敷金・礼金・更新料が周辺の募集条件とかみ合っていない
  • 掲載写真が少ない、暗い、ぼやけている
  • 間取り図が古い、手書きのまま、白黒のまま
  • 主要なポータルサイトに載っていない、または埋もれている
  • 共用部にクモの巣やチラシ溜まりがあり、ゴミ置き場が散らかっている
  • コンロの油汚れ、鏡のうろこ、虫の死骸など、清掃で消える汚れが残っている
  • オーナーの知らない費用が積み上がり、収支だけが悪化している

清掃と写真で消える問題に、工事費を使ってはいけません。募集情報の側の課題については岡山市のアパートで空室が埋まらない原因を現場目線で点検でも触れています。

費用対効果は「回収月数」で判断する

リフォーム費用の回収月数を求める計算式と判断の目安を示した図

リフォームの良し悪しを感覚で決めると、どうしても業者の提案どおりになりがちです。オーナーが自分で判断できるように、金額を家賃の月数に置き換えて考えます。

計算はこの一行だけで足ります

工事費 ÷ 月額家賃 = 回収に必要な月数

たとえば家賃5万円の部屋に30万円かけるなら、6か月分の家賃で回収する計算になります。空室が半年続いていたなら、その半年ですでに同じだけの家賃を失っているわけですから、比べる材料になります。逆に、回収に2年3年かかる工事を、次の入居者が2年で退去するかもしれない部屋に入れるのであれば、慎重に考えたほうがよい、ということです。

数字を出すときに気をつけたいこと

  • 工事費は「金額」ではなく「家賃の何か月分か」で見る
  • 空室が続いている期間も、すでに失っている家賃として数える
  • 回収月数が想定入居期間を超える工事は、優先順位を下げる
  • 家賃を上げる前提の計算にしない。まず現行家賃で成立するかを見る
  • 複数室ある場合は、1室で試してから横展開する

家賃を下げれば決まりやすくはなりますが、下げた家賃は次の入居者にも引き継がれ、建物全体の評価にも響きます。値下げ以外の打ち手については家賃を下げずに賃貸空室を埋める方法と見せ方もあわせてご覧ください。

全面交換ではなく、塗装と部品交換で足りる場所

塗装や部品交換で対応できる箇所と全面交換が必要な箇所を比較した図解

内見で「古い」と感じさせるのは、多くの場合、部屋の構造ではありません。目線に入る面と、手で触れる部品が印象を決めています。ここだけを入れ替えると、費用を抑えたまま見え方が変わることがあります。

箇所ごとの置き換え方

気になる箇所 全面でやる場合 費用を抑える手段 向いている状況
建具・扉の色あせ 建具ごと交換 塗装・シート貼り 反りや建て付けの不具合がない
玄関ドアの傷み ドア交換 塗装+ドアノブ交換 枠と鍵に問題がない
浴室のくすみ ユニットバス入替 塗装・コーキング打ち替え・鏡と水栓の交換 漏水や割れがない
キッチンの古さ キッチン交換 扉面材の塗装・取っ手と水栓の交換・コンロ入替 本体と排水に不具合がない
洗面台 洗面化粧台交換 鏡・水栓・排水部品の交換 ボウルにひび割れがない
照明・スイッチ 電気工事一式 器具とプレートの交換 配線に問題がない
壁の汚れ 全室クロス張替 一面のみアクセント張替+他面クリーニング 下地に傷みがない
床の擦れ・色あせ 床材の全面張替 傷んだ範囲のみ重ね張り・巾木の交換 沈みや軋みがない

「直す」と「替える」の線引き

ポイントは、壊れているものは交換、古びて見えるだけのものは塗装や部品交換で対応する、という線引きです。漏水・ひび割れ・建て付けの不良は見た目の問題ではなく不具合ですから、ここをごまかすと入居後のクレームや、結果的に二度手間の出費につながります。当社が低価格・高品質のリフォームをご提案するときも、全面改修を前提にせず、不具合は先に直し、印象の問題は塗装と部品交換で対応する順番で組み立てています。

設備を足すか、いまある設備を直すか

設備の追加を回収月数と募集情報への反映で仕分けた図

費用対効果の話でよく迷うのが、設備の追加です。当社の現場感覚では、設備は「足りないから選ばれない」ものと「あっても決め手にならない」ものがはっきり分かれます。

  • 問い合わせ段階で条件検索に使われやすいもの(TVモニター付きインターホン、宅配ボックス、無料インターネットなど)は、募集条件の欄に一行増えることそのものが効きます
  • 入居後の満足には効くが、内見前の比較には出てこないものは、優先順位を一段下げて構いません
  • すでに故障や不調が出ている設備は、空室対策ではなく修繕として先に手当てします

給湯器のように、交換時期が読みにくく金額も大きい設備は、見積書の内訳で差が出ます。考え方はアパート 給湯器 交換 費用|見積書で見る3つの変動要因にまとめています。設備を足すかどうかを迷ったときも、回収月数と、募集図面に一行増えるかどうかの二つで判断すると、比べやすくなります。

ターゲットを決めてから、手を入れる

同じ金額をかけても、誰に向けた部屋かが決まっていないと費用が散ります。オーナーが先に決めるべきなのは工事内容ではなく、その部屋に住んでほしい人の輪郭です。

  1. 周辺の勤務先・学校・生活動線から、実際に問い合わせが来そうな層を1つに絞る
  2. その層が同じ家賃帯で見ている他の部屋を、募集図面レベルで比べる
  3. 勝てない点(駅距離・築年数など)は諦め、勝てる点に費用を集中させる
  4. 写真1枚で伝わる変化になっているかを、工事前に確認する

当社がご相談を受けた岡山市北区津高の築30年RC造アパート(1K・バストイレ別・オートロック・25部屋)では、相談時点で13部屋が空室でした。募集条件の見直し、予算を抑えたリフォームと清掃、掲載内容の改善に加え、社会人女性に絞った内装の手直しを行い、6か月で満室になっています。取り組みの流れは、当社の事例紹介ページ築30年アパートの空室対策事例(満室本舗の支援内容)でご覧いただけます。※結果は物件の立地・状態により異なります。ただ、ターゲットを決めてから予算配分を考えるという順番自体は、どの物件でも使えます。

工事より先に効く、お金のかからない打ち手

塗装や部品交換すら判断がつかないときは、費用ゼロに近い順から試すのが安全です。ここで反響が変われば、工事の規模を小さくできます。

  • 共用部の清掃(クモの巣、ポストのチラシ、ゴミ置き場、植栽の伸び)
  • 室内の徹底清掃(コンロまわり、鏡のうろこ、水まわりの水垢、におい)
  • 写真の撮り直し(明るい時間帯、広角、枚数を増やす)
  • 間取り図の作り直しと、設備情報の記載漏れの確認
  • ゴミ置き場・駐車場の位置、ライフラインなど、問い合わせで必ず聞かれる情報の整理

共用部は、内見者が部屋に入る前に目にする場所です。清掃を外部に頼むときの見方はアパート共用部の清掃業者の選び方|空室対策から逆算するに整理しています。

写真と情報の整備は、仲介会社が他社の物件を紹介するときの判断材料にもなります。紹介しやすい物件になっているかどうかは、工事の有無と同じくらい成約に影響します。当社では管理をお預かりする物件について、プロカメラマンによる建築用カメラでの撮影、物件専用ホームページの制作、募集資料・チラシの制作、SUUMOの上位PR枠への掲載代行を費用をいただかずに行っています。入居者の仲介手数料も0円で、部屋が決まるまで管理手数料はいただきません(家賃が発生している部屋のみ対象)。

費用対効果を下げてしまう、よくある3つの失敗

順番を間違えると、お金をかけたのに空室が続く、という状態になりかねません。避けたいのは次の3つです。

  • 見えない場所から着手する:断熱や下地など、内見で伝わらない部分を先に直すと、募集の反応は変わりにくくなります(不具合がある場合を除きます)。
  • 相見積もりを取らない:同じ内容でも、業者によって考え方も金額も違います。最低2社に、同じ条件で依頼してください。
  • 工事だけで解決しようとする:募集条件や掲載内容がそのままだと、きれいになった部屋が誰の目にも触れないままになります。

そしてもう一つ。工事の提案は来るのに空室が動かない、報告が届かない、値下げの話ばかりになる、という状態が続くなら、原因が部屋ではなく募集体制にある可能性があります。判断の目安は空室が続くとき管理会社を変更するタイミングと判断基準、日々の報告の見方は賃貸管理の定期報告書の見方とチェック項目にまとめています。切り替えに伴う手間や注意点が気になる場合は賃貸の管理会社変更|デメリットを防ぐ手順で進めるもご覧ください。

見積もりの比べ方と、経費の扱いで迷ったとき

最後に、発注の前後で確認しておきたいことを整理します。金額の安さだけで選ぶと、あとから追加費用が出て回収月数が崩れることがあります。

見積書で見る項目

  1. 工事範囲が「一式」でまとめられていないか。箇所ごとに分かれているか
  2. 塗装・シート貼りなど、交換以外の選択肢が検討されているか
  3. 養生・廃材処分・出張費など、後から乗りやすい費用が入っているか
  4. 工期と、募集再開できる日がいつになるか
  5. 工事後にどう募集するかまで話が及んでいるか

修繕費か資本的支出かは専門家に

同じリフォームでも、その年の経費になるものと、資産として複数年に分けて計上するものがあります。区分は工事の内容や金額によって変わり、手元の収支計画にも影響します。当社は宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者であり、税務の個別判断はできませんので、実際の計上方法は顧問税理士にご確認ください。見積書の段階で、工事内容の内訳を箇所ごとに残しておくと、相談がスムーズになります。

まとめ:小さく試して、効いた順に広げる

費用対効果の高いリフォームは、豪華な工事ではなく、回収月数が短く、写真で伝わり、ターゲットに刺さる工事です。1室で試して反響の変化を見てから、他の部屋に広げる。この進め方なら、判断を誤っても影響は1室分にとどまります。空室が長引いている理由がまだはっきりしない段階なら、工事の前に原因の切り分けから始めてみてください。当社では質問に答えるだけで空室長期化のリスクを確認できる無料の診断ツールもご用意しています。

リフォーム費用は家賃の何か月分までが目安ですか
一律の正解はありませんが、判断しやすいのは「工事費÷月額家賃=回収に必要な月数」で考える方法です。家賃5万円の部屋に30万円かけるなら6か月分にあたります。この月数が、その部屋の想定される入居期間より十分短いかどうかを見てください。回収に何年もかかる工事は、不具合の修繕でない限り優先順位を下げ、まず塗装や部品交換など小さな費用で試す進め方が無理がありません。
リフォームと家賃の値下げは、どちらを先に考えるべきですか
まず家賃が周辺の募集条件と大きくずれていないかを確認し、ずれていないなら、値下げより先に見せ方と部屋の手直しを検討する順番をおすすめします。家賃を下げると、その水準は次の入居者にも引き継がれ、収益が長期的に下がります。一方、清掃や写真の撮り直し、部品交換は一度きりの費用で済みます。条件が明らかに周辺より高い場合だけ、見直しを含めて検討してください。
工事は空室のうちにまとめてやるべきですか
室内の塗装や設備の交換は入居中には実施しにくいため、空室期間中に行うのが基本です。ただし、まとめて全部やる必要はありません。内見で目に入る箇所と、手で触れる部品を先に直し、募集を再開して反響を確認してから次を判断する進め方であれば、出費を小さく区切れます。漏水やひび割れなどの不具合だけは、後回しにせず先に直してください。
宅配ボックスやモニター付きインターホンは、費用をかけて付ける価値がありますか
判断の軸は二つあります。一つは工事費が家賃の何か月分で回収できるか、もう一つは募集図面や検索条件の欄に項目として一行増えるかどうかです。条件検索で使われる設備は、内見前の比較段階で効いてきます。逆に、入居後の満足には効いても募集情報に現れない設備は、優先順位を下げて構いません。すでに故障している設備がある場合は、追加より修繕が先です。
築30年を超えるアパートでも、費用を抑えたリフォームで決まりますか
築年数だけで判断はできませんが、築古でも募集条件の見直しと予算を抑えた手直し、清掃、掲載内容の改善を組み合わせて空室が動いた例があります。満室本舗がご相談を受けた岡山市北区津高の築30年RC造アパートでは、25部屋のうち13部屋が空室だった状態から、ターゲットを絞った内装の手直しなどを行い6か月で満室になりました。結果は物件の立地・状態により異なりますので、まずは原因の切り分けから始めてください。

株式会社ログリンク 代表取締役 菅雅俊
株式会社ログリンク
代表取締役
菅 雅俊KAN MASATOSHI
「空室・空き家を、満室に。」
宅地建物取引士賃貸経営管理士土地家屋調査士測量士FP3級
岡山市・倉敷市で空室対策に特化した賃貸管理サービス「満室本舗」を運営。国土交通省の賃貸住宅管理業登録事業者(国土交通大臣(1)第001348号)として、プロカメラマンによる物件撮影や物件専用ホームページの制作など、オーナー様第一の空室対策で早期満室化を支援している。
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