ブログ
2026年9月28日

サブリースの解約方法|オーナーが契約書で見る5項目

「毎月の保証賃料が下がってきた」「修繕費の負担が思っていたものと違う」「入居状況が見えない」。こうした理由でサブリース契約(マスターリース契約)をやめたいと考えるオーナーの方からのご相談は、決して珍しくありません。一方で、契約書を開いてみると解約に関する条文が細かく、どこから手を付ければよいのか分かりにくいのも事実です。

この記事では、サブリース契約を解約したいと考えているオーナーの方に向けて、契約書のどこを確認するか、法律上どんな制約があるか、そして解約後に入居者・敷金・管理をどう引き継ぐかまでを順番に整理します。なお、個別の契約が解約できるかどうかの最終的な判断は法律の専門的な評価を伴いますので、弁護士への相談を前提にお読みください(当社は宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者です)。

サブリース契約の解約は、まず「契約書の中途解約条項」から始まります

サブリース契約におけるオーナー・サブリース会社・入居者の関係を示す図

サブリース契約を解約する方法は、契約書に中途解約の定めがあるかどうかで大きく変わります。まずは手元の契約書を開き、解約に関する条文を読むところから始めてください。

サブリース契約は、オーナー(所有者)がサブリース会社に建物を一括で貸し、サブリース会社がそれを入居者に転貸する仕組みです。法律関係でいうと、オーナーは「貸主」、サブリース会社は「借主」という位置づけになります。ここが、一般的な管理委託契約との決定的な違いです。管理委託契約なら委任契約なので比較的自由に解約できますが、サブリースは建物賃貸借契約なので、借主であるサブリース会社が借地借家法の保護を受けます。

つまり「解約したいから解約する」と一方的に進められる契約ではなく、契約書の定めと法律の両方を踏まえて進める必要があります。

  • サブリース契約は、オーナーが貸主・サブリース会社が借主という建物賃貸借
  • 解約の可否と手順は、まず契約書の中途解約条項で決まる
  • 条項がない場合や、会社側が応じない場合は借地借家法の制約が関わる
  • 合意による解約(解約の話し合い)が実務上いちばん現実的な入口
  • 最終判断は弁護士に確認したうえで進める

解約を決める前に、契約書で確認する5つの項目

サブリース契約書で確認する5項目のチェックリスト

契約書の中で先に読むべき箇所は限られています。次の5点を書き出しておくと、サブリース会社との話し合いも、次の管理会社への相談もスムーズになります。

1. 中途解約条項と予告期間

「甲(貸主)は〇か月前に書面で通知することにより解約できる」といった条文があるかを確認します。オーナー側からの解約だけ予告期間が長い、あるいはオーナー側からの解約条項そのものが無い契約もあります。予告期間の起算日が「通知が到達した日」か「翌月1日」かでも、実際の終了日は変わります。

2. 違約金・解約金の定め

中途解約する場合に「賃料の〇か月分」を支払う、という定めが置かれていることがあります。金額の相場を一般論で語ることはできませんので、ご自身の契約書に書かれている算定方法をそのまま読み取ってください。あわせて、建築費や初期費用の一部をサブリース会社が負担している場合、その未償却分の精算義務が定められていないかも確認します。

3. 免責期間・賃料改定(減額)の条項

解約するかどうかの判断材料として、今後の賃料がどう動くかを押さえます。賃料改定の周期、改定時の協議方法、空室が出た際の免責期間の有無などです。ここが実質的に「今の条件が続くのか」を決めています。

4. 原状回復・修繕費の負担区分

解約時に、建物や室内をどの状態で返してもらうのかという定めです。サブリース期間中の入居者退去時の原状回復をどちらが負担していたかによって、返還時の室内状態は大きく変わります。負担区分の一般的な考え方は、当社のブログ記事「原状回復のガイドラインで大家負担になる範囲と、経過年数の考え方」でも整理しています。

5. 引き継ぎ書類に関する定め

入居者名簿、転貸借契約書、敷金、保証会社の情報、鍵、設備の保証書や修繕履歴。これらを解約時に引き渡す旨が書かれているかを確認します。書かれていない場合でも請求はできますが、条文があると話が早く進みます。

オーナー側からの解約が簡単ではない、法律上の理由

契約書に中途解約条項がない、あるいはサブリース会社が解約に応じない場合、オーナー側からの解約には借地借家法の制約がかかります。この点を知らずに交渉を始めると、話が思わぬ方向に進むことがあります。

  • 正当事由:借地借家法28条では、建物の賃貸人からの更新拒絶や解約の申入れには正当の事由が必要と定められています。サブリース契約では、この「賃貸人」がオーナー、「賃借人」がサブリース会社にあたります。
  • 解約申入れから終了までの期間:期間の定めがない建物賃貸借について、借地借家法27条1項は、賃貸人からの解約申入れの日から6か月を経過することで終了すると定めています。
  • 賃料の減額請求:最高裁判所平成15年10月21日判決は、いわゆるサブリース契約にも借地借家法32条(賃料増減額請求)の適用があるとしました。「〇年間賃料保証」と契約書に書かれていても、減額請求の対象になり得るということです。

また、2021年6月に全面施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」では、サブリース業者に対して、契約締結前の重要事項説明(同法30条)や契約締結時の書面交付(同法31条)、誇大広告等の禁止(同法28条)、不当な勧誘等の禁止(同法29条)が義務づけられています。重要事項説明の記載事項には契約の解除に関する事項も含まれますので、契約時に受け取った重要事項説明書が手元にあれば、契約書とあわせて読み返してください。詳細は国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」で公開されています。

法律が定めているのは「解約できない」ではなく「一方的には終了させにくい」という枠組みです。だからこそ、実務では合意解約の話し合いが中心になります。

サブリース解約の進め方|6つのステップ

サブリース契約の解約手続きの流れを示す6ステップの図

解約は、書類の準備・通知・引き継ぎの3つの段階に分かれます。順番を飛ばすと、入居者への連絡や家賃の入金先変更で混乱が起きやすくなります。

  1. 契約書・重要事項説明書・直近の送金明細を揃える。前章の5項目を書き出し、現状の収支も把握します。
  2. 解約後にどうしたいかを決める。自主管理か、管理会社への委託か、売却かで、必要な準備期間が変わります。
  3. 弁護士に契約書を確認してもらう。特に中途解約条項がない場合や、違約金の定めが大きい場合は、交渉を始める前が適切です。
  4. サブリース会社へ解約の意向を伝える。契約書で書面通知が求められている場合は、到達の記録が残る方法(配達証明付き内容証明郵便など)を使います。
  5. 解約日と引き継ぎ内容を合意書にまとめる。終了日、敷金の引き渡し、入居者への通知の方法と時期、書類の受け渡し日、未収賃料の扱いを明記します。
  6. 入居者への貸主変更の通知と、家賃入金口座の変更手続きを行う。ここは次の管理会社が決まっていれば代行してもらえる部分です。

解約の意向を伝える前に、次の受け皿(自主管理の体制か、委託先の管理会社か)の見当をつけておくと、引き継ぎの段取りを並行して進められます。

入居者と敷金は、解約後どうなるのか

サブリース契約を解約しても、住んでいる入居者がそのまま退去するわけではありません。ここはオーナーが最も誤解しやすいところです。

民法613条3項は、賃貸人(オーナー)と賃借人(サブリース会社)が賃貸借を合意により解除しても、原則として転借人(入居者)にはその解除を対抗できないと定めています。つまり、合意解約の場合、入居者との賃貸借はそのまま残り、オーナーが貸主の立場を引き継ぐのが基本的な形になります。あわせて借地借家法34条は、建物の転貸借がある場合に、期間満了や解約申入れによって賃貸借が終了するときは転借人に通知しなければ終了を対抗できず、通知の日から6か月を経過して転貸借が終了すると定めています。

引き継ぎで確実に受け取っておきたいものを挙げます。

  • 入居者ごとの賃貸借契約書と申込書、入居者名簿
  • 預かり敷金(敷金返還債務もあわせて引き継ぐことになります)と、その精算状況
  • 家賃保証会社の契約内容、連帯保証人の情報
  • 滞納の有無と経緯、督促の記録
  • 鍵の本数と保管状況、マスターキーの有無
  • 設備の保証書、修繕履歴、点検記録、火災保険の内容

敷金は金額だけでなく、誰が預かっている扱いになっているのかを合意書で明確にしておきます。ここが曖昧なまま解約すると、退去時の返還で入居者との間にトラブルが起きやすくなります。

解約で発生しうる費用と、見落としやすい負担

解約の費用は契約書によって異なりますが、想定しておくべき項目は共通しています。金額の相場を一律に示すことはできませんので、ご自身の契約書と見積もりで確認してください。

項目 確認するところ
違約金・解約金 契約書の算定方法(賃料の何か月分か、残存期間に応じるか)
初期費用の未償却分 サブリース会社が負担した設備・広告費等の精算条項の有無
原状回復・修繕 返還時の建物の状態と、負担区分の定め
空室の埋め戻し費用 引き継ぎ時点の空室に対する募集費用・リフォーム費用
管理体制の構築 自主管理なら設備点検や清掃の外注費、委託なら管理料

見落としやすいのは、引き継いだ時点の空室です。サブリース中は保証賃料が入っていたため空室が見えにくく、解約後に初めて実際の稼働率が分かることがあります。募集家賃をいくらに設定するかは、解約後の収支を左右します。考え方は当社のブログ記事「家賃相場の調べ方|空室が続くとき、下げる前の見直し順」でまとめています。

解約後の選択肢|自主管理・管理委託・売却の比べ方

サブリースをやめたあと、オーナーが建物をどう運営するかは大きく3つに分かれます。手間・収入の安定性・必要な知識の3点で比べると判断しやすくなります。

自主管理

入居者募集、家賃の入金確認と督促、退去立会い、修繕手配、クレーム対応をすべて自分で行う形です。管理料はかかりませんが、夜間や休日の設備トラブルにも対応する必要があります。物件から近く、時間の都合がつけられる方に向いた選択です。

管理会社への委託

管理料を払って、募集から日常管理までを委託する形です。サブリースと違って家賃はオーナーの収入としてそのまま入り、空室リスクはオーナーが負います。サブリースから切り替えるときは「空室をどう埋めるか」が最初の課題になりますので、募集面の具体策を持っている会社かどうかを確認してください。

売却

建物の状態や築年数、今後の修繕計画を踏まえて、保有を終える選択もあります。判断材料は当社のブログ記事「アパート売却のタイミング|満室か空室かで変わる判断材料」で整理しています。

自主管理 管理委託
日常の手間 すべて自分で対応 委託先が対応
管理料 不要 契約内容による
空室リスク オーナーが負う オーナーが負う
必要な知識 募集・法令・原状回復まで幅広く 報告内容を読み解く力

岡山市・倉敷市で管理会社へ切り替える場合、当社での流れ

当社(満室本舗/株式会社ログリンク)は岡山市・倉敷市を対応エリアとする賃貸住宅管理業者です(賃貸住宅管理業 国土交通大臣(1)第001348号)。サブリースからの切り替えや、現在の管理会社からの変更をご検討中のオーナー様には、次のような流れでお手伝いしています。以下は当社サービスのご案内です。

  1. 契約書と直近の収支をお見せいただき、解約の条件と時期を一緒に確認します(契約の法的な有効性の判断は弁護士へのご相談をご案内します)。
  2. ご契約後、現在の管理会社・サブリース会社への解約手続きは、オーナー様には解約書類へのご署名だけをお願いし、先方への連絡や入居者への手続きは当社が代行します。
  3. 管理開始日までの期間(当社の場合、ご契約から通常3か月程度)に、プロカメラマンによる物件撮影、物件専用ホームページの制作、募集図面の作り直しを進め、開始日までに空室を減らすことを目指します。
  4. 当社では、空室の部屋には管理手数料をいただきません。家賃が発生している部屋のみが対象です。空室が埋まらないと当社の収入にもならないため、募集に力を入れる理由がそのまま仕組みになっています。

実際に、相談時に多数の空室があったRC造の物件で、募集条件の見直しと費用を抑えたリフォーム、ポータルサイト掲載の改善を行い、満室に至った例があります(※結果は物件の立地・状態により異なります)。

サブリースの解約は、終わらせること自体より「そのあと誰がどう空室を埋めるか」を先に決めておくことが、実務では重要になります。

よくある質問

サブリース契約は途中で解約できますか
契約書に中途解約条項があれば、そこに定められた予告期間と違約金の条件に従って解約を申し入れることができます。条項がない場合や相手方が応じない場合は、サブリース会社が借地借家法上の借主として保護されるため、建物の賃貸人からの解約申入れには借地借家法28条の正当の事由が必要とされます。実務では合意による解約の話し合いが中心になります。ご自身の契約が解約できるかどうかの判断は弁護士にご確認ください。
サブリースを解約すると入居者は退去することになりますか
原則として退去にはなりません。民法613条3項は、賃貸人と賃借人が賃貸借を合意により解除しても、その解除を転借人に対抗できないと定めています。サブリース契約を合意解約した場合、入居者との賃貸借は存続し、オーナーが貸主の立場を引き継ぐ形になるのが基本です。解約にあたっては、入居者への貸主変更の通知と家賃入金口座の変更手続きが必要になります。
サブリース会社が預かっている敷金はどうなりますか
入居者との賃貸借が存続する場合、敷金の預かり金と返還義務もオーナー側へ引き継がれるのが基本的な整理です。引き継ぎの際は、入居者ごとの敷金額、これまでの精算状況、保証会社の契約内容や連帯保証人の情報を書面で受け取り、解約の合意書に敷金の引き渡し方法を明記しておくと、退去時の返還で認識のずれが起きにくくなります。
契約書に賃料保証と書いてあれば、家賃が下がることはありませんか
賃料保証と記載されていても、金額が変わらないとは限りません。最高裁判所平成15年10月21日判決は、いわゆるサブリース契約についても借地借家法32条の賃料増減額請求の規定が適用されるとしています。実際の契約でも賃料改定の周期や協議の方法が定められていることが多いため、契約書の賃料改定条項と、契約時に受け取った重要事項説明書の記載を確認してください。
サブリースを解約したあと、すぐに別の管理会社へ委託できますか
委託先を先に決めておけば、解約手続きと引き継ぎを並行して進められます。入居者名簿や賃貸借契約書、敷金、鍵、修繕履歴の受け渡しに時間がかかるため、解約日の前に引き継ぎ日程を合意書で決めておくと進めやすくなります。満室本舗では、岡山市・倉敷市の物件について、ご契約後は解約書類へのご署名のみで、現在の管理会社・サブリース会社への連絡と入居者への手続きを当社が代行しています。

株式会社ログリンク 代表取締役 菅雅俊
株式会社ログリンク
代表取締役
菅 雅俊KAN MASATOSHI
「空室・空き家を、満室に。」
宅地建物取引士賃貸経営管理士土地家屋調査士測量士FP3級
岡山市・倉敷市で空室対策に特化した賃貸管理サービス「満室本舗」を運営。国土交通省の賃貸住宅管理業登録事業者(国土交通大臣(1)第001348号)として、プロカメラマンによる物件撮影や物件専用ホームページの制作など、オーナー様第一の空室対策で早期満室化を支援している。
なぜ空室が埋まらないのか?
無料で改善策をご提案します
\最短1分で入力完了/

お問い合わせ

\お電話でのご相談はこちら/

086-250-7130平日10:00-18:00(水・日・祝日を除く)