賃貸リフォーム、無駄な費用をかけてない?空室対策で優先すべきこと
賃貸のリフォーム費用は「何を直すか」で桁が変わります
空室が続くと「リフォームにいくらかかるのか」が真っ先に気になります。結論から申し上げると、賃貸のリフォーム費用は一律の相場で語れるものではなく、どこまで手を入れるかの範囲設定で金額が大きく動きます。同じ1Kの部屋でも、クロスの一部張り替えと水回りの全面交換では、支出の規模がまったく違うからです。
ですから最初にやるべきことは、見積もりを取ることではありません。「この部屋が決まらない理由はどこにあるのか」を先に特定することです。原因と違う場所にお金をかけても、空室期間は短くなりません。当社(満室本舗)が岡山市・倉敷市で空室の相談を受けるとき、現地で最初に確認するのもこの点です。
- 費用の話に入る前に、決まらない原因を特定する
- 原状回復と、競争力を上げるための投資は分けて考える
- 見積書は「総額」より「内訳の単位」を見る
- 全面改修ではなく、塗装・部品交換で済む箇所を探す
- 費用は家賃の回収年数に置き換えて判断する
リフォーム費用を分ける2つの性格
賃貸のリフォームにかかるお金は、性格の違う2種類が混ざっています。この区別をしないまま見積書を眺めると、どこを削ってよいのか判断できなくなります。
退去に伴う原状回復
入居者が退去したあと、次の募集ができる状態に戻すための工事です。ハウスクリーニング、傷んだクロスの張り替え、建具の調整などが含まれます。これは部屋を貸し出す以上、避けて通れない支出です。
なお、どこまでを入居者の負担とし、どこからを貸主の負担とするかは、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」に考え方が示されています。経年変化・通常損耗の部分は貸主負担とする整理が基本です。契約書の特約の書き方によっても扱いが変わりますので、募集前に自分の契約書の条文を確認しておくと、退去時の押し問答が減ります。この点は賃貸契約を結ぶ前に|貸主が確かめる契約書の項目と敷金の扱い(当社のブログ記事です)でも触れています。
競争力を上げるための投資
もう一方は、同じエリアの他の物件と比べられたときに選ばれるための支出です。設備の追加、内装の方向性の変更、室内の印象を変える塗装などがこれにあたります。
原状回復は「戻す」お金、投資は「差をつける」お金で、判断基準がまったく違います。前者は必要最小限でよく、後者は回収の見込みを立ててから出す、という使い分けになります。
見積書で必ず確かめたい項目

複数社から見積もりを取っても、書き方がバラバラだと比較できません。比べられる形に揃えるために、次の点を確認してください。
- 単位が書かれているか。「クロス張り替え 一式」ではなく、平米単価と数量が分かれているか
- グレードの指定があるか。同じクロスでも量産品と機能性のあるものでは単価が違います
- 撤去・処分費が含まれているか。設備交換では、古い機器の処分が別計上になることがあります
- 養生費・運搬費・諸経費の扱い。総額の数パーセントを占めることがあり、ここが抜けた見積もりは後から増えます
- 工期と、その間の募集可否。工事中でも図面と写真で募集できるのか
単位が揃っていない見積書は、安く見えても比較の土台に乗りません。「一式」が並ぶ見積もりを受け取ったら、内訳を出してもらえるか聞いてみてください。断られる場合、その理由を聞いておくと業者の姿勢が見えます。
| 確認項目 | 比較できる書き方 | 比較しにくい書き方 |
|---|---|---|
| 内装 | クロス ○㎡ × 単価、品番指定 | 内装工事 一式 |
| 設備 | 機器代・取付費・既存撤去処分費を分けて記載 | キッチン交換 一式 |
| 清掃 | 部屋の広さと作業範囲を明記 | クリーニング 一式 |
| 諸経費 | 項目と根拠を記載 | 記載なし(後から追加) |
費用対効果で考える優先順位

限られた予算をどこから使うか。当社が現場で見てきた範囲では、お金をかける前に直せる問題が残っていることが少なくありません。順番を整理します。
先に、お金をかけずに直せる部分
募集情報と物件の見え方は、工事をしなくても改善できる領域です。
- 写真の枚数が足りない、スマホ撮影でぼやけている
- 間取り図が古い、手書きのまま、白黒で見づらい
- 大手ポータルサイトに掲載されていない、情報が薄い
- 共用部の蜘蛛の巣、ポストに溜まったチラシ、ゴミ置き場の散らかり
- 室内の汚れや臭い(コンロの油汚れ、鏡のうろこ、虫の死骸)
これらは内見前の印象を左右します。共用部については蜘蛛の巣の対策|賃貸共用部の取り方と再発を減らす順番(当社のブログ記事です)で手順をまとめています。
次に、低コストで印象が変わる工事
全面改修の前に、部分的な手当てで済む箇所を探します。たとえば、傷んだ設備をすべて交換するのではなく、塗装や部品交換で見た目と機能を回復させる方法です。当社がリフォームを提案する際も、全面改修ありきではなく、費用対効果を優先して範囲を絞る考え方をとっています。
最後に、設備投資
テレビモニターホン、宅配ボックス、無料Wi-Fiなど、入居者に人気のある設備の追加です。ここは支出額が大きくなるため、投資額を見込める家賃の上昇分や空室期間の短縮で割り戻し、何年で回収する計算になるかを確認してから決めます。宅配ボックスの費用の内訳については賃貸の宅配ボックス設置費用、大家が見積もり前に見る3つの内訳(当社のブログ記事です)で整理しています。
設備投資は「あると良さそう」ではなく、回収年数を出してから判断してください。
ターゲットを決めないリフォームは費用が膨らみます
誰に住んでもらいたいかが決まっていないと、リフォームの方向性が定まらず、結果として「とりあえず全部きれいにする」という最も高くつく選択になりがちです。
当社が関わった岡山市北区津高のRC造アパート(築30年・1K・25部屋)では、相談をいただいた時点で13部屋が空室でした。ここでは募集条件を見直したうえで、予算を抑えたリフォームと清掃、入居者の仲介手数料0円、ポータル掲載の改善に加え、ターゲットを社会人女性に絞った内装リフォームを行い、6ヶ月で満室となりました。※結果は物件の立地・状態・時期により異なります。すべての物件で同じ結果になるとは限りません。
ポイントは、工事の規模ではなく、対象を絞ったことで何を直し何を直さないかが決まった点にあります。ターゲットが決まれば、色味も設備も優先順位がつき、不要な工事を外せます。
- 周辺にどんな層が住んでいるか(学生・単身社会人・ファミリー)
- その層が内見で必ず見る場所はどこか
- その層が妥協できない設備は何か
この3点に答えが出ない段階で工事を発注すると、費用の根拠が曖昧なまま進みます。
リフォームの前に、家賃を下げる判断をしていませんか
空室が長引くと「家賃を下げるしかない」と言われることがあります。ただし家賃の引き下げは、その部屋だけでなく将来の収益の基準線を下げる判断です。元に戻すには、次の入居者の入れ替わりを待つことになります。
当社が関わった長期空室の物件では、他社から家賃引き下げを提案されていましたが、プロのカメラマンによる写真撮影と物件専用ホームページの制作で反響が増え、1ヶ月で入居が決まったケースがあります。※結果は物件の立地・状態により異なります。この事例が示すのは、「募集の見せ方に手が入っていない状態で家賃だけ下げても、原因は解決していない場合がある」ということです。
家賃や敷金・礼金の設定そのものを見直したい場合は、周辺の相場と自分の物件の条件を並べて確認するところから始めます。考え方は敷金礼金の相場、大家が設定前に調べる手順と判断材料(当社のブログ記事です)にまとめています。
相談先をどう選ぶか
リフォーム費用の見積もりは、工事会社に直接頼む方法と、管理会社を通す方法があります。どちらにも向き不向きがあります。
判断のための基準
- 工事の提案に、空室が埋まるまでの道筋が添えられているか(工事だけで終わっていないか)
- 全面改修以外の選択肢を出してくれるか
- 工事後の募集方法まで話が続くか
- 空室期間中の費用負担がどうなるか
特に4つ目は見落とされがちです。空室の間も管理手数料が発生する契約だと、長引くほど支出だけが増えていきます。当社(満室本舗)は、部屋が決まるまで管理手数料をいただかない仕組みにしています(家賃が発生している部屋のみが対象です)。空室が埋まらないと当社の収入にもならないため、オーナー様と利害がずれにくい形を取っています。
管理会社そのものを見直す場合の進め方は、賃貸の管理会社の切り替え相談、相談先の基準と費用の発生点(当社のブログ記事です)をご覧ください。
相談前に揃えておくもの
- 現在の募集条件(家賃・敷金・礼金・更新料)
- 直近の入退去の履歴と、空室になった時期
- 現在のポータルサイトの掲載内容(スクリーンショットで可)
- 過去のリフォーム履歴と、そのときの見積書
- 管理委託契約書(解約予告期間の確認のため)
この5点があると、工事の必要性そのものから一緒に検討できます。揃える資料の詳細は無料相談で聞かれること|空室に悩む大家の準備資料(当社のブログ記事です)で紹介しています。
空き家をこれから貸す場合の費用の考え方
相続などで取得した家を賃貸に回す場合、必要な工事の規模は入居中の部屋とは別物になります。長期間使われていなかった住宅は、給排水設備や雨漏りの有無など、内装以前の確認が必要です。
当社では空き家の活用について、再生にかかる費用の負担割合を変えた3つのプラン(負担0/50/100)を用意し、契約期間3〜15年で対応しています。どのプランが合うかは、建物の状態と、オーナー様がどこまで初期費用を出せるかによって変わります。
また、空き家の改修には自治体の補助制度が用意されている場合があります。ただし要件と金額は年度ごとに変わるため、必ずお住まいの自治体の公式ページで現在の内容を確認してください。確認先の探し方は空き家を賃貸に活用する補助金、岡山で申請前に見る確認先(当社のブログ記事です)にまとめています。貸す以外の選択肢も含めて迷っている段階であれば、空き家を相続したらどうする、残す貸す売る解体の分かれ目(当社のブログ記事です)が判断の整理に使えます。
なお、リフォーム費用の税務上の扱い(修繕費として計上できるか、資本的支出になるか)は、工事の内容と金額によって判断が分かれます。個別の判断は税理士にご確認ください。当社は宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者であり、税務の個別判断は行いません。
よくある質問
賃貸のリフォーム費用の相場はいくらですか
空室が続いているとき、リフォームと家賃の引き下げはどちらを先に考えるべきですか
原状回復の費用は入居者と貸主のどちらが負担しますか
リフォームをする業者は管理会社に任せてよいのでしょうか
空き家を賃貸に出す場合、リフォームの前に何を確認すればよいですか
