不動産投資はやめとけと言われる理由と立て直し方
「不動産投資はやめとけ」という言葉は、検索するとすぐに出てきます。これから始めようか迷っている方にとっても、すでに物件を持っていて空室が埋まらない方にとっても、不安をあおられる言葉だと思います。
ただ、この言葉が指しているのは「不動産投資そのものが悪い」ということではなく、多くの場合失敗しやすい共通のパターンがあるということです。逆に言えば、そのパターンを知っていれば、避けることも、すでに起きているなら立て直しに向かうこともできます。
この記事は、岡山市・倉敷市で賃貸管理と空室対策を行っている満室本舗(株式会社ログリンク)が、現場で実際に見てきた空室の原因をもとにまとめたものです。「やめとけ」と言われる理由を分解すると、その多くは打ち手のある問題に変わります。
「不動産投資はやめとけ」と言われる4つの理由

まず、なぜこの言葉がこれほど広く言われるのかを整理します。理由は大きく4つに分かれ、それぞれ性質が違います。
- 家賃が下がっていく前提を織り込んでいない
- 空室が出たときの原因がわからないまま時間が過ぎる
- 修繕費と大規模な工事の資金を見込んでいない
- 管理会社に任せきりで、判断材料が手元にない
理由1:家賃は基本的に右肩下がりで考える必要がある
新築時の家賃がずっと続くという前提で収支を組むと、数年後に計画が崩れます。国土交通省が公表している「民間賃貸住宅の計画修繕を含む投資判断のあり方に関する検討報告書」でも、賃貸住宅の経営では経年に伴う賃料水準の変化を前提に置く必要性が示されています。
下落幅は立地・築年数・設備・競合の状況で大きく変わるため、一律に「何年で何%下がる」とは言えません。だからこそ、購入前でも保有中でも、周辺の同条件の募集家賃を定期的に確認して、自分の物件がどの位置にあるかを把握することが出発点になります。
理由2:空室の「原因」がわからないまま放置される
これが、当社が現場でもっとも多く目にする状態です。空室が続いているのに、なぜ決まらないのかをオーナー様ご自身が把握できていません。
原因は物件そのものより、募集のされ方にあることが少なくありません。当社が実際に確認してきた例を挙げます。
- 掲載写真の枚数が少ない、スマートフォン撮影でぼやけている
- 間取り図が古い、手書き、白黒のまま
- 主要なポータルサイトに掲載されていない
- 家賃・敷金・礼金・更新料が周辺の相場と合っていない
- 共用部に蜘蛛の巣、ポストのチラシ溜まり、ゴミ置き場の散らかり
- 室内の汚れや臭い(コンロの油汚れ、鏡のうろこ、虫の死骸など)
- TVモニターホン・宅配ボックス・無料Wi-Fiといった設備が周辺物件に見劣りする
ここに挙げたものは、いずれも建て替えや大きな投資をしなくても手を打てる範囲です。「立地が悪いから」と結論づける前に、確認すべきことが残っている場合があります。
理由3:修繕費が想定外の支出になる
賃貸住宅は建物である以上、退去のたびの原状回復、給湯器やエアコンなどの設備更新、そして外壁や屋根といった大きな工事が発生します。国土交通省の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」でも、突発的な対応ではなく計画的に修繕を積み立てる考え方が示されています。
「やめとけ」と言われる背景には、家賃収入だけを見て手取りを計算し、修繕を見込んでいなかったケースがあります。家賃収入の一部は、将来の修繕のために先に取り分けておくという発想を持つかどうかで、数年後の見え方が変わります。
理由4:管理会社に任せきりで判断材料がない
管理を委託していること自体は問題ではありません。問題は、報告が届かず、何が行われているのかわからない状態です。
当社にご相談いただく方からは、「空室が続いているのに、仲介手数料のサービスなどの努力が見えない」「オーナーの知らない費用が請求に加わっていた」といったお話をうかがうことがあります。任せているつもりが、実際には状況が見えないまま時間だけが過ぎていた、という状態です。
始める前に確認したい判断材料
これから購入を検討している方は、「やめとけ」に従うかどうかではなく、自分の条件で成立するかを数字で確認するのが現実的です。判断の材料になるのは次の点です。
- 周辺の同条件の物件が、いくらで募集され、どれくらいの期間で決まっているか
- 空室率を何%で見積もっても返済と経費が回るか(満室前提で計算しない)
- 築年数から見て、今後10年でどの修繕が来る可能性があるか
- 金利が上がった場合でも返済を続けられるか
- 売却するとしたら、どういう買い手が想定されるか
特に1つ目は、購入を勧める側からの情報だけで判断しないことをおすすめします。実際に募集されている物件を、入居者と同じ目線でポータルサイトから探してみると、その地域の競合状況が体感でわかります。
ローンや税務の判断は専門家に確認する
不動産投資では、減価償却や損益通算といった税務の話が必ず出てきます。ただし、これらは個別の所得状況や物件の構造によって扱いが変わるため、この記事では踏み込みません。税務の個別判断は税理士に、登記に関することは司法書士にご確認ください。当社は宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者として、賃貸経営の実務面についてお答えする立場です。
すでに持っている物件をどう立て直すか

ここからが、この記事の本題です。すでに購入していて空室に悩んでいる場合、「やめとけばよかった」と考えても状況は変わりません。手放すかどうかを決める前に、試せることが残っているかを順番に見ていきます。
- まず家賃を下げるのではなく、募集の見え方を先に直す
- 写真・物件情報・掲載先の3点は費用をかけずに改善できる余地が大きい
- リフォームは全面改修ではなく、費用対効果の高い箇所に絞る
- 共用部の印象は内見時の判断に影響しやすい
- それでも動かないなら、管理体制そのものを見直す
ステップ1:家賃を下げる前に「見え方」を直す
空室が続くと、管理会社から家賃の値下げを提案されることがあります。しかし家賃を下げると、その水準がその後の基準になり、収支に長く影響します。
当社では、値下げを検討する前に、募集情報そのものを整えることをご提案しています。具体的には、建築用カメラを使ったプロカメラマンによる撮影、物件専用ホームページの制作、ゴミ置き場や駐車場の配置図・ライフライン情報まで載せた資料の作成です。これらは当社の管理をご利用いただく場合、無料で対応しています。情報が揃っていると、他社の仲介会社も紹介しやすくなります。
実際に当社が対応した長期空室の物件では、他社から「家賃を下げるしかない」と言われていた状態から、プロによる無料撮影と物件専用ホームページの制作を行ったところ反響が増え、1か月で満室となった例があります。※結果は物件の立地・状態により異なります。
値下げ以外の方法をもう少し具体的に知りたい方は、当社が公開している家賃を下げずに賃貸空室を埋める方法と見せ方もあわせてご覧ください。
ステップ2:リフォームは範囲を絞る
空室が長引くと「全面リフォームしかないのでは」と考えがちですが、費用をかけた分だけ入居が決まるとは限りません。当社では、全面改修ではなく塗装や部品交換など、費用対効果を重視した提案を行っています。
どこにいくらかけるかの考え方は、当社の記事アパートリフォームの費用対効果|空室は塗装と部品交換で狙うで整理しています。
ステップ3:共用部の印象を整える
内見に来た方は、部屋に入る前に建物の共用部を通ります。ポストのチラシ、ゴミ置き場、植栽、外壁の様子は、その物件の管理状態を伝えてしまいます。
清掃業者の選び方はアパート共用部の清掃業者の選び方|空室対策から逆算する、ゴミ置き場についてはアパートのゴミ置き場が空室に響く|内見前に整えるで、当社の考え方をまとめています。
ステップ4:ターゲットを絞り直す
「誰にでも合う部屋」を目指すと、かえって誰にも刺さらないことがあります。当社が対応した岡山市北区津高のRC造アパート(築30年・1K・バストイレ別・オートロック・25部屋)では、ご相談時に13部屋が空室でした。募集条件の見直し、予算を抑えたリフォームと清掃、入居者の仲介手数料0円、ポータル掲載の改善、そして社会人女性にターゲットを絞った内装リフォームを行い、6か月で満室となりました。※結果は物件の立地・状態により異なります。
管理会社任せから抜け出すための見方
ステップ1から4を試そうにも、管理を委託している以上、実際に動くのは管理会社です。ここが動かないと、オーナー様がいくら考えても状況は変わりません。
今の管理会社を判断する材料
感情ではなく、次のような点が揃っているかで見ていくのが現実的です。
- 毎月の報告書(集金レポート・点検報告)が届いているか
- 空室の原因について、具体的な説明があるか
- 値下げ以外の提案が出てきているか
- ポータルサイトへの掲載内容を確認できているか
- 管理手数料以外にどんな費用が発生しているか説明できるか
また、募集の仕方によっては、他社からの入居希望が反映されにくくなる構造もあります。仕組みそのものを知っておきたい方は、当社の記事賃貸管理会社の囲い込みとは|両手仲介の仕組みを知るをご覧ください。
変更を考える場合の手順とタイミング
管理会社の変更は、思われているより手続きが重くありません。当社にご依頼いただく場合、オーナー様に行っていただくのは解約書類へのご署名のみで、現管理会社とのやり取りや入居者への連絡手続きは当社が代行します。ただし、多くの管理契約では3か月前の予告が必要とされているため、時期の逆算は必要です。
手順の詳細は賃貸の管理会社変更|デメリットを防ぐ手順で進める、時期の考え方は賃貸管理会社の変更タイミング|繁忙期から逆算して決める、費用面は賃貸管理会社の乗り換え費用|違約金と実費の見方がわかるで、それぞれ当社がまとめています。
管理会社と利害が一致しているかを確かめる
空室でも管理手数料が発生する契約だと、管理会社側に空室を埋める切迫感が生まれにくい構造になります。当社は、部屋が決まるまで管理手数料をいただかない仕組みにしています(満室物件は3か月無料)。空室に管理料が発生しないため、早く埋めることがそのまま当社の利益にもなります。
「やめとけ」と言われる状況の多くは、物件ではなく、動かない体制のほうに原因があります。
手放すことを検討する場合の考え方
立て直しを試したうえで、それでも収支が合わないと判断することもあります。売却は選択肢の一つであり、続けることだけが正解ではありません。判断する際は、次の点を順に確認します。
- 今の入居状況で、あといくら手元に残るのか
- 今後10年で必要になりそうな修繕費はいくらか
- 売却した場合の想定価格と、残っているローン残高の関係
- 相続や税務上、どのタイミングが望ましいか(税理士に確認)
また、空室ではなく建物ごと使われていない状態であれば、賃貸として貸す以外の活用も検討できます。岡山での選択肢は、当社の記事岡山の空き家活用の方法|費用と期間から選び方を決めるにまとめています。相続で引き継いだアパートを、これからどう運営するか迷っている場合は相続したアパートの空室経営、始め方の手順もご覧ください。
失敗パターンと打ち手の対応表

ここまでの内容を、原因と打ち手の対応で整理します。
| 「やめとけ」の背景 | 実際に起きていること | 先に試せる打ち手 |
|---|---|---|
| 家賃が下がり続ける | 新築時の家賃で収支を組んでいた | 周辺の募集家賃を定期確認し、収支を組み直す |
| 空室が埋まらない | 写真・間取り図・掲載先が整っていない | 撮影と物件情報を作り直し、掲載先を広げる |
| 修繕費で赤字になる | 修繕を見込まずに手取りを計算していた | 計画修繕の考え方で先に積み立てる |
| 管理会社が動かない | 報告がなく、値下げ以外の提案が出ない | 報告体制と提案内容で判断し、必要なら変更する |
| 内見で決まらない | 共用部・室内の印象で候補から外れている | 清掃とゴミ置き場、部品交換から着手する |
不動産投資は、買った瞬間に結果が決まるものではありません。保有してからの運営で変えられる部分が、思っているより多く残っています。「やめとけ」という言葉に立ち止まったときこそ、自分の物件で何が起きているのかを一つずつ確認するタイミングだと考えていただければと思います。
なお当社では、質問に答えるだけで空室が長期化するリスクを確認できる無料の空室診断ツールをご用意しています(満室本舗の空室長期化リスク診断)。当社へのご相談窓口を兼ねたページですので、その点をご理解のうえでご利用ください。
不動産投資で失敗しやすい人にはどんな共通点がありますか。
空室が続いたら家賃を下げるしかないのでしょうか。
管理会社を変更すると入居者に迷惑がかかりませんか。
空室の部屋にも管理手数料はかかるのですか。
減価償却や節税の相談にも対応してもらえますか。
