賃貸管理会社の切り替え注意点、解約通知を出す前の確認順
管理会社の切り替えは「解約通知を出す前」で9割決まります
管理会社を切り替えるとき、多くのオーナー様がまず気にされるのは「次にどこへ頼むか」です。けれど実際につまずきが起きやすいのは、その手前にあります。現在の管理委託契約書を読まずに解約を申し出てしまうと、想定していなかった予告期間や精算のルールが後から出てきます。
この記事では、切り替えの流れ全体ではなく、解約通知を出す前に契約書のどこを読むかという一点に絞ってお伝えします。解約後の引き継ぎや入居者への通知、タイミングの考え方については、当社の別記事でも扱っていますので、必要に応じてそちらもご覧ください。
- 切り替えの第一歩は新しい管理会社探しではなく、手元の契約書を読むこと
- 確かめるのは「解約予告期間」「自動更新の有無」「預り金・敷金の扱い」「違約金・精算条項」「原契約の種類」の5点
- サブリース(一括借り上げ)は管理委託契約とは別の法律が関わるため、同じ感覚で進めない
- 契約書が見当たらない場合も、やるべきことは残っている
解約通知を出す前に契約書で確かめる5項目

管理委託契約書は数ページから十数ページのものが一般的ですが、切り替えの判断に関わる箇所は限られています。まずは次の5つを順番に拾い出してください。
1. 解約予告期間はいつまでか
「解約の申し入れは◯か月前までに書面で行う」といった条項が、契約書の終盤(契約期間・解約の章)に置かれていることが多いです。当社がこれまでご相談を受けてきた中では、3か月前の予告を定めた契約が目立ちます。ただしこれはあくまで当社が見てきた範囲の傾向であり、1か月前のものも、6か月前のものもあります。「よくあるのは3か月」と思い込まず、必ずご自身の契約書の数字を確認してください。
あわせて見ていただきたいのが、予告の「方法」です。口頭やメールでは受け付けず、書面(場合によっては内容証明郵便)を要求する契約もあります。電話で伝えただけでは起算日が動かず、切り替え時期がまるごと後ろにずれてしまうことがあります。
2. 自動更新の条項があるか
管理委託契約は、期間満了の一定期間前までに申し出がなければ同一条件で自動更新される、という形が多く見られます。つまり更新日をまたいでしまうと、そこからまた契約期間が始まり、次の区切りまで待つことになります。
契約書の冒頭付近にある契約期間の記載と、解約の章にある自動更新の条項を照らし合わせて、次の更新日がいつかを紙に書き出しておきましょう。予告期間が3か月で、更新日が4か月後なら、動ける時間はあと1か月ほどしかない、という形で具体的に見えてきます。
3. 預り金・敷金はどこにあるか
見落とされやすいのが、お金の置き場所です。管理会社が預かっているものには、次のようなものがあります。
- 入居者から預かった敷金・保証金
- 当月分の家賃のうち、まだオーナーへ送金されていない分
- 日割り精算が発生している共益費・水道代など
- 原状回復工事の前受金や、修繕積立の名目で預けている資金
契約書に精算の時期と方法が書かれているかを確認してください。「解約日の属する月の翌月末までに精算する」といった定めがあれば、その通りに進みます。書かれていない場合は、解約を申し出る段階で精算の時期を文書で確認しておくほうが、後のやりとりが短く済みます。
4. 違約金・中途解約時の費用の定め
中途解約に対して違約金や解約手数料を定めている契約があります。金額は契約によって幅があるため一律には言えませんが、「残存期間の管理料相当額」「◯か月分の管理報酬」といった形で書かれていることがあります。該当する条項があるかどうかだけは、通知を出す前に必ず見てください。
また、鍵の返却、入居者台帳・契約書原本の引き渡し、各種データの引き継ぎについて費用を定めている契約もあります。「書類の引き渡しに実費がかかる」といった記載の有無も、同じタイミングで拾っておくと安心して次に進めます。
5. そもそも何の契約なのか(管理委託かサブリースか)
契約書の表題を確認してください。「賃貸住宅管理委託契約書」なのか、「定期建物賃貸借契約書」「一括借り上げ契約書」なのかで、話がまったく変わります。後者はサブリースで、管理会社がオーナーから物件を借り上げている形です。この場合、解約にあたっては借地借家法の考え方が関わるため、管理委託の解約と同じ感覚では進められません。
サブリース契約の確認すべき箇所については、サブリースの解約方法|オーナーが契約書で見る5項目という当社の記事で別途まとめていますので、表題がサブリースだった方はそちらをご覧ください。
契約書が見当たらないときにできること
「契約書をどこに保管したか分からない」というご相談も実際にあります。その場合でも、できることは残っています。
- 現在の管理会社に、管理委託契約書の写しの交付を依頼する(控えの保管義務があるため、通常は応じてもらえます)
- 毎月届く送金明細・収支報告書を半年分ほど並べ、管理報酬の計算方法と差し引かれている費目を洗い出す
- 確定申告の際に使った資料から、管理料として計上している金額と支払先を確認する
- 入居者の賃貸借契約書の控えがあれば、敷金の額と預かり主の名義を確認する
写しの交付を依頼する時点で解約の意思を伝える必要はありません。「保管していた書類が見当たらないため」と伝えれば足ります。
解約の意思を伝える前に、自分の側も整理しておく
契約書の確認が終わったら、通知を出す前にもう一段だけ整理しておきたいことがあります。切り替えた後に「結局変わらなかった」とならないよう、現状の課題を言葉にしておく作業です。
当社が空室のご相談を受けてきた中で感じるのは、空室に悩むオーナー様ほど「なぜ空室なのか」の原因を把握できていないということです。原因が分からないまま会社だけを変えても、同じ状態が続きかねません。次のような観点で、今の募集状況を見直してみてください。
- ポータルサイトに掲載されている自分の物件の写真は、何枚あって、どんな写りか
- 間取り図は最新のものか。手書きや白黒のまま使われていないか
- SUUMOなど主要なポータルに、そもそも掲載されているか
- 家賃・敷金・礼金・更新料は、近隣の似た条件の物件と見比べて不整合がないか
- 空室が続いている間、管理会社からどんな提案があったか(あるいは、なかったか)
家賃の見直しを考えている場合は、下げる前に確認したい順番を家賃相場の調べ方|空室が続くとき、下げる前の見直し順にまとめています。また共用部の印象についてはアパート共用部の印象改善|入居が決まる内見前の点検順が参考になるかと思います。いずれも当社が運営する記事です。
次の管理会社を見るとき、免許と登録で確かめられること
切り替え先を比べる際、サービス内容の説明だけでは判断が難しいこともあります。その前に、客観的に確認できる情報があります。
| 確認するもの | 何が分かるか | 確認方法 |
|---|---|---|
| 宅地建物取引業免許 | 売買・仲介を業として行える登録があるか。カッコ内の数字から更新回数の目安 | 会社案内やサイトに記載の免許番号、国土交通省の検索システム |
| 賃貸住宅管理業者登録 | 管理戸数が一定以上の事業者に義務づけられた国の登録を受けているか | 国土交通大臣(◯)第◯号の表記、国交省の登録業者一覧 |
| 業界団体への加盟 | 研修や保証制度などの枠組みに参加しているか | 会社案内、サイト下部の表記 |
| 担当者の資格 | 賃貸経営や取引の知識を体系的に学んだ人が窓口にいるか | 名刺、担当者への質問 |
免許番号の読み方は宅建業者と管理業者の違い|大家が見る免許番号の読み方で、担当者の資格の違いは管理任せるなら宅建士?賃貸経営管理士?でそれぞれ扱っています。どちらも当社が運営する解説記事です。
なお当社・満室本舗(株式会社ログリンク)は、宅地建物取引業免許が岡山県知事(1)第5933号、賃貸住宅管理業が国土交通大臣(1)第001348号で、全宅管理に加盟しています。代表の菅は宅地建物取引士・賃貸経営管理士・土地家屋調査士・測量士の資格を持っています。こうした情報は、どの会社を検討される場合でも同じように確かめられますので、比べる材料の一つにしてください。
切り替えにかかる費用とスケジュールの考え方

費用は契約内容によって変わるため一律の金額は示せませんが、どこで発生しうるかは整理できます。
- 現管理会社側:中途解約の違約金(定めがある場合)、書類引き渡しの実費、最終月の管理報酬
- 新管理会社側:契約時の初期費用の有無、管理報酬の計算方法、別途かかる維持管理費用(消防設備点検・定期清掃・貯水槽清掃など)の範囲
- オーナー様側:入居者へ送る通知の郵送費、家賃振込口座の変更に伴う手数料
スケジュールは、解約予告期間がそのまま準備期間になります。当社の場合、ご契約から管理開始までは通常3か月程度で、解約書類へのご署名をいただければ、現管理会社とのやりとりや入居者への連絡手続きは当社が代行します。契約後すぐに写真撮影と物件専用ホームページの制作を始め、管理開始日までに募集の準備を整える進め方をしています。
この「待ち時間」をどう使うかで、切り替え後の立ち上がりが変わります。解約予告を出してから新しい会社を探し始めるより、確認と相談を並行させたほうが、空室期間を短くしやすい進め方になります(物件の状況によって結果は異なります)。
よくある失敗のかたち
最後に、解約通知の前後で起きやすいつまずきを挙げておきます。
- 予告期間を確認せずに口頭で解約を伝え、起算日が動かないまま時間だけが過ぎた
- 自動更新日の直後に申し出てしまい、次の区切りまで待つことになった
- 敷金の引き継ぎ方法を決めずに解約日を迎え、入居者の退去時に返還の責任の所在でもめた
- 入居者への通知が遅れ、家賃の振込先が分からないまま滞納扱いになった
- 現状の課題を整理しないまま会社だけを変え、募集の内容が以前とほとんど変わらなかった
いずれも、通知を出す前の確認で避けられる範囲のものです。手元の契約書を一度開くところから始めてみてください。
どこを見ればよいか判断がつかないとき、何を相談すればよいか整理したいときは、無料相談で聞かれること|空室に悩む大家の準備資料で当社の相談時にうかがう内容をまとめています。あわせて、質問に答えるだけで空室が長引きやすい状態かを確かめられる当社の空室長期化リスク診断(無料)もご用意しています。
※事例や進め方に関する記述について、結果は物件の立地・状態により異なります。契約内容の個別の法的な判断については、弁護士など専門家にご確認ください。当社は宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者です。
管理委託契約の解約予告は何か月前に出せばよいですか
管理委託契約書が見つからない場合はどうすればよいですか
入居者から預かっている敷金は、どのように引き継がれますか
サブリース契約でも管理会社の切り替えと同じ手順で進められますか
切り替えの際、入居者への通知は誰が行うのですか
