ブログ
2026年9月25日

空き家の固定資産税が6倍になる条件|相続した実家の選択肢4つ

岡山市・倉敷市で賃貸管理と空き家活用を行っている満室本舗(株式会社ログリンク)です。相続した実家をそのままにしているオーナーさまから、「空き家を放置すると固定資産税が6倍になると聞いたのですが、うちも対象ですか」というご相談をよくいただきます。

結論からお伝えすると、空き家というだけで税金が上がるわけではありません。上がるのは、自治体から一定の手続きを踏んで「勧告」を受けた場合です。この記事では、6倍と言われる仕組み、勧告に至るまでの流れ、そしてそうなる前に取れる選択肢を順に整理します。なお、税額そのものの計算や個別の適用可否は税理士や市の資産税課の領域になりますので、ここでは制度の仕組みと判断材料に絞ってお伝えします。

「空き家の固定資産税が6倍」と言われる仕組み

住宅用地特例で固定資産税の課税標準が6分の1になる仕組みの図

6倍という数字は、住宅が建っている土地に適用される「住宅用地特例」がなくなることから来ています。特例が外れると、土地の課税標準額が元の評価額に戻るため、負担が大きく変わる可能性があるという話です。

住宅用地特例の中身

地方税法第349条の3の2では、住宅の敷地となっている土地について、固定資産税の課税標準を次のように軽減すると定めています。

区分 固定資産税の課税標準 都市計画税の課税標準
小規模住宅用地(1戸あたり200㎡以下の部分) 評価額の6分の1 評価額の3分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 評価額の3分の1 評価額の3分の2

出典:地方税法第349条の3の2、同法第702条の3(都市計画税)。この6分の1が1に戻ることを指して、「6倍になる」と言われています。

ただし「必ず6倍」ではありません

実際の税額は、評価額に税率を掛けて単純に決まるものではなく、急激な増加をならすための負担調整措置などが関わります。また、土地とは別に家屋にも固定資産税がかかっており、そちらは特例の対象外です。6倍という数字は土地の課税標準の上限の話であって、納付額がそのまま6倍になると決まっているわけではありません。

ご自身の物件でいくらになるのかは、課税明細書を手元に置いて、岡山市なら市民税課・資産税課、倉敷市なら資産税課といった課税担当窓口に確認するのが確実です。

特例が外れるのは「勧告」を受けたとき

空家法における指導から勧告までの流れと住宅用地特例が外れる時点を示した図

住宅用地特例が外れるのは、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)にもとづいて、自治体から「特定空家等」または「管理不全空家等」として勧告を受けた場合です。逆に言えば、勧告に至っていない段階では特例は続きます。

特定空家等と管理不全空家等の違い

2023年の空家法改正(令和5年12月13日施行)で、従来の「特定空家等」に加えて「管理不全空家等」という区分が新設されました。放置すれば特定空家になるおそれのある段階で、早めに手を入れられるようにしたものです。

管理不全空家等 特定空家等
根拠 空家法第13条 空家法第22条
状態のイメージ そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある状態 倒壊等の危険、衛生上有害、著しく景観を損なう、周辺の生活環境の保全に不適切な状態
措置の流れ 指導 → 勧告 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行
住宅用地特例 勧告で対象外 勧告で対象外

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号、令和5年改正)、国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」令和5年12月。

いきなり6倍になるわけではない

どちらの区分も、まず自治体から助言や指導があり、それでも状態が改まらない場合に勧告へ進みます。通知が届いた段階で放置しないことが、税負担の面でも実務上のいちばんの分かれ目です。

また、固定資産税の賦課期日は地方税法第359条で「当該年度の初日の属する年の1月1日」と定められています。つまり、勧告を受けた状態が翌年の1月1日時点で続いていれば、その年度の課税から特例が外れる形になります。指導の連絡を受けてから手を打つ時間がまったくない、という制度ではありません。

  • 空き家というだけでは税額は変わらない
  • 変わるのは「勧告」を受けたとき
  • 勧告の前に、助言・指導の段階がある
  • 対象は特定空家等と管理不全空家等の2区分
  • 判断の基準日は毎年1月1日

指定につながりやすい空き家の状態

国交省のガイドラインでは、判断のもとになる状態が具体的に示されています。遠方に住んでいて年に数回しか見に行けない実家ほど、次のような状態になりやすいと考えられます。

  • 屋根材や外壁材の剥落、building の傾き、基礎のひび割れなど、倒壊につながる兆候
  • 窓ガラスの破損や施錠のない開口部があり、誰でも入れる状態になっている
  • 敷地内にごみが残置され、臭気や害虫・害獣の発生源になっている
  • 立木や雑草が越境し、隣地や道路にはみ出している
  • ブロック塀や擁壁がぐらつき、通行人に危険が及びうる

いずれも、写真に撮って第三者に見せたときに「危なそう」「近所が困りそう」と感じられるかどうかが目安になります。年に一度、外周をひと回りして写真を残しておくと、変化に気づきやすくなります。作業を人に頼む場合の内容や費用の考え方は、当社のブログ記事「空き家 管理 サービス、遠方の実家で頼める作業と費用を整理する」でまとめています。

勧告を受ける前に取れる4つの選択肢

空き家の選択肢4つと費用・税の扱いを比べた比較図

空き家の出口は、大きく「住む・貸す・売る・解体する」の4つです。どれを選ぶかで、税負担だけでなく手元に残る費用も変わります。

1. 貸す

人が住む状態に戻せば、管理の目が入り、家賃収入も生まれます。住宅として使われている限り住宅用地特例の前提も保たれます。一方で、貸せる状態にするための修繕費が先に出ていく点は押さえておく必要があります。貸すか売るかで迷っている段階では、まず修繕にいくらかかるかを見積もってから比べるのが現実的です。

2. 売る

維持の手間と費用をこれ以上かけたくない場合の選択肢です。相続した物件は名義の整理が先になることが多く、順番を間違えると話が進みません。名義の整え方と貸す選択との比べ方は、当社のブログ記事「相続した空き家の売却|名義を整える順番と、貸す選択との比べ方」にまとめています。仲介と買取の違いを先に知っておきたい方は「空き家 買取 業者に依頼する前に、仲介との違いと見積もりの確認項目」もあわせてご覧ください。

3. 解体して更地にする

危険な状態を解消する確実な方法ですが、更地にすると住宅用地特例そのものがなくなります。建物がなくなれば「住宅の敷地」ではなくなるためです。解体費も相応にかかりますので、税負担を理由に解体を選ぶ場合は、解体費と特例が外れたあとの税額の両方を並べて考える必要があります。費用感は当社のブログ記事「実家じまいの費用|片付け・解体・売却の目安を知る」で整理しています。

4. 管理を続けながら判断を先送りしない

すぐに結論が出せない場合でも、定期的な通風・清掃・草木の手入れを続けていれば、管理不全と判断される状態には近づきにくくなります。ただし、管理を続けること自体は費用と手間が出ていき続ける選択でもあります。住む・貸す・売るのどれを軸にするかを決める材料は、当社のブログ記事「実家 空き家 どうする|住む・貸す・売るを決める4つの材料」で扱っています。

判断の順番と、岡山市・倉敷市での確認先

迷ったときは、税額の話から入るより、先に建物の状態と権利関係を確定させるほうが進みやすくなります。

  1. 登記の名義が誰になっているかを確認する(相続登記が済んでいるか)
  2. 現地の写真を撮り、危険箇所・近隣に影響しそうな箇所を書き出す
  3. 課税明細書で、いま土地と家屋にいくら課税されているかを確認する
  4. 貸す場合の修繕費、売る場合の想定価格、解体費をそれぞれ見積もる
  5. 数字を並べたうえで、住む・貸す・売る・解体を比べる

自治体からの通知や指定の状況については、岡山市・倉敷市とも空家対策の担当課が窓口になります。税額そのものは資産税の担当課、相続登記は司法書士、譲渡や控除の可否は税理士と、聞く相手が分かれる点にご注意ください。当社は宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者ですので、税務・登記の個別判断についてはそれぞれの専門家をご案内しています。

当社でお手伝いできる範囲

満室本舗では、岡山市・倉敷市を対応エリアとして、空き家の活用に関するご相談をお受けしています。空き家活用では、再生にかかる費用の負担割合を0・50・100の3プランから選べる形をとっており、契約期間は3年から15年の範囲で設定しています。貸し出す場合の物件写真の撮影(建築用カメラによるプロ撮影)と物件専用ホームページの制作は無料で行っています。ご相談の窓口は086-250-7130(10時〜18時、水・日・祝を除く)です。

賃貸に出す方向で考えていて、家賃をどう設定すべきか迷っている場合は、当社のブログ記事「家賃相場の調べ方|空室が続くとき、下げる前の見直し順」も判断材料になります。

  • まず名義と現況の写真を押さえる
  • 課税明細書で現状の税額を確認する
  • 修繕費・想定価格・解体費を並べて比べる
  • 税務は税理士、登記は司法書士、活用は不動産会社と窓口を分ける

よくある質問

空き家を持っているだけで固定資産税は上がりますか。
空き家であること自体を理由に税額が上がる仕組みはありません。上がる可能性があるのは、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづいて自治体から特定空家等または管理不全空家等として勧告を受け、住宅用地特例(地方税法第349条の3の2)の対象から外れた場合です。勧告の前には助言・指導の段階があります。
建物を解体して更地にすれば税金は安くなりますか。
更地にすると、住宅の敷地に適用される住宅用地特例の前提がなくなるため、土地の課税標準の軽減は受けられなくなります。建物分の課税はなくなりますが、土地分は上がる方向に働きます。解体費用も別途かかるため、税負担だけを理由に解体を決める前に、解体費と解体後の税額の両方を確認することをおすすめします。
管理不全空家等と特定空家等は何が違うのですか。
特定空家等は、倒壊のおそれや衛生上の有害性など、すでに周辺へ悪影響が及んでいる状態を指します(空家法第22条)。管理不全空家等は、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある段階を指し、2023年の法改正で新設されました(空家法第13条)。どちらも勧告を受けると住宅用地特例の対象外になります。
勧告を受けたあとに状態を改善すれば、特例は戻りますか。
国土交通省のガイドライン(令和5年12月)では、状態が改善されて自治体が勧告を撤回した場合、住宅用地特例の適用対象に戻る扱いが示されています。ただし、いつの年度の課税から反映されるかは賦課期日との関係で決まります。実際の取り扱いは、物件のある市の資産税担当課へご確認ください。
遠方に住んでいて現地を見に行けません。何から始めればよいですか。
まず登記の名義が現在誰になっているかを確認し、次に建物の外周と室内の写真を残すところから始めると、その後の判断がしやすくなります。現地確認を自分で行えない場合は、巡回や通風、草木の手入れを代行するサービスを利用する方法があります。作業範囲と費用の考え方を先に整理してから依頼先を選ぶと、比較しやすくなります。

株式会社ログリンク 代表取締役 菅雅俊
株式会社ログリンク
代表取締役
菅 雅俊KAN MASATOSHI
「空室・空き家を、満室に。」
宅地建物取引士賃貸経営管理士土地家屋調査士測量士FP3級
岡山市・倉敷市で空室対策に特化した賃貸管理サービス「満室本舗」を運営。国土交通省の賃貸住宅管理業登録事業者(国土交通大臣(1)第001348号)として、プロカメラマンによる物件撮影や物件専用ホームページの制作など、オーナー様第一の空室対策で早期満室化を支援している。
なぜ空室が埋まらないのか?
無料で改善策をご提案します
\最短1分で入力完了/

お問い合わせ

\お電話でのご相談はこちら/

086-250-7130平日10:00-18:00(水・日・祝日を除く)