不動産の名義変更の費用|相続・贈与・売買で比べる
不動産の名義変更でかかる費用は、大きく3つに分かれます
不動産の名義変更(登記名義人の変更=所有権移転登記)にかかるお金は、内訳を分けて考えると見通しが立ちます。費用は「登録免許税」「専門家への報酬」「書類の取得実費」の3つに分かれ、金額の大部分は登録免許税が占めます。
- 登録免許税:国に納める税金。名義変更の原因(相続・贈与・売買)で税率が変わる
- 司法書士報酬:手続きを依頼する場合の費用。依頼しなければかかりません
- 書類の取得実費:戸籍謄本、住民票、登記事項証明書、固定資産評価証明書などの発行手数料
- 原因によっては、別途で不動産取得税や贈与税・譲渡所得税などの税金が関わります
このうち登録免許税は、購入価格ではなく固定資産税評価額をもとに計算します。評価額は毎年春に届く固定資産税の納税通知書、または市区町村で取得する固定資産評価証明書で確認できます。
登録免許税は原因ごとに税率が違います

登録免許税の税率は登録免許税法で定められており、相続かそれ以外かで大きく差が出ます。国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」で公表されている内容をもとに整理すると、次のとおりです。
| 名義変更の原因 | 所有権移転登記の税率 | 評価額1,000万円のときの目安 |
|---|---|---|
| 相続(法定相続人へ) | 0.4% | 4万円 |
| 贈与・財産分与など | 2% | 20万円 |
| 売買(建物) | 2% | 20万円 |
| 売買(土地) | 1.5%(租税特別措置法による軽減。期限あり) | 15万円 |
土地の売買の軽減税率や、住宅用家屋の軽減(一定の要件を満たす自己居住用の住宅)には適用期限と条件があります。適用の可否は国税庁の税額表と、実際の申請時点の法令で確認してください。
相続登記には免税措置と申請義務があります
相続による土地の名義変更には、不動産の価額が100万円以下の場合に登録免許税が免税となる措置があります(租税特別措置法にもとづく措置で、期限が定められています。法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」)。山林や持分の小さい土地が混ざるケースでは、この措置が効いてくることがあります。
また、2024年4月1日から相続登記が義務化されました(不動産登記法の改正)。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請が必要で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象とされています。施行前に相続した不動産も対象になるため、「祖父名義のまま」という物件をお持ちの方は早めの確認をおすすめします。
司法書士に依頼する場合の報酬の目安
登記申請の代理を依頼できるのは司法書士です。報酬は自由化されているため事務所ごとに異なりますが、日本司法書士会連合会が実施した報酬アンケート(2018年1月実施・同連合会公表)では、相続を原因とする所有権移転登記の報酬額の平均は、地区によっておおむね6万円台から8万円台の幅で示されています。この数値は「不動産の価額1,000万円、法定相続人3名、遺産分割協議書作成を含む」といった一定の条件を置いた場合のものです。
実際の見積もりは、次のような条件で上下します。
- 相続人の人数と、戸籍を遡って取得する範囲の広さ
- 不動産の個数(複数の市区町村にまたがると評価証明書の取得先が増えます)
- 遺産分割協議書の作成を含むかどうか
- 相続人の一部と連絡が取りにくい、住所の変遷が追いにくいなどの事情
見積もりを取るときは、報酬と登録免許税と実費を分けて提示してもらうと比較しやすくなります。総額だけの提示だと、どこに差があるのか判断できません。
書類の取得にかかる実費
自分で申請する場合でも、必要書類の取得費用は必ずかかります。主なものは次のとおりです(金額は戸籍法施行令・登記手数料令などにもとづく手数料で、住民票や評価証明書は自治体により異なります)。
| 書類 | 手数料の目安 | 取得先 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本(現在戸籍) | 1通450円 | 市区町村 |
| 除籍謄本・改製原戸籍 | 1通750円 | 市区町村 |
| 住民票の写し・戸籍の附票 | 1通300円程度(自治体による) | 市区町村 |
| 固定資産評価証明書 | 1通300円程度(自治体による) | 市区町村 |
| 登記事項証明書 | 書面請求600円/オンライン請求・送付480円 | 法務局 |
相続の場合は被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要になるため、通数が増えて数千円規模になることがあります。なお、法務局で交付される法定相続情報一覧図の写しは無料で、金融機関の手続きにも使い回せます。
自分で申請する場合と、依頼する場合の違い
登記申請は本人が行うこともできます。費用を抑えたい方にとっては現実的な選択肢ですが、向き不向きがあります。
自分で進めやすいケース
- 相続人が少なく、全員の合意が取れている
- 対象の不動産が1〜2件で、同じ市区町村内にある
- 被相続人の住所の変遷が単純で、戸籍を追いやすい
- 平日に法務局へ相談に出向く時間が取れる
専門家に頼んだほうが安全なケース
- 相続人が多い、面識のない相続人がいる、行方が分からない人がいる
- 数代前の名義のまま放置されている(いわゆる数次相続)
- 抵当権が残っている、共有持分が複雑に分かれている
- 贈与や売買で、税金の扱いも同時に検討する必要がある
個別の手続きが通るかどうか、どの書類が必要かの判断は登記の専門領域です。当社は宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者であり、登記の代理は行いません。具体的な可否は司法書士へ、税額の計算や特例の適用可否は税理士へご相談ください。
相続・贈与・売買で、名義変更以外にかかる税金
登録免許税のほかに、原因によって別の税金が関わります。ここは金額が大きく動くところなので、名義変更の方法を決める前に確認しておくと安心です。
| 原因 | 不動産取得税 | その他に関わる主な税 |
|---|---|---|
| 相続 | 非課税(地方税法) | 相続税(基礎控除を超える場合) |
| 贈与 | 課税される | 贈与税 |
| 売買 | 課税される | 売主に譲渡所得税・住民税 |
不動産取得税は都道府県税で、住宅や土地には税率の特例や軽減措置があります。ただし要件と適用期限が細かく定められているため、お住まいの都道府県の公式ページで最新の内容をご確認ください。「生前に贈与しておけば安く済む」とは限らず、登録免許税と不動産取得税と贈与税を合わせて比べる必要があります。
名義変更のあと、その物件をどうするかで動く費用
相続で賃貸物件やアパートを引き継いだ場合、名義変更は入口にすぎません。名義を変えたあとに実際に負担が発生するのは、管理・修繕・空室対策の側です。
- 入居者がいる物件は、賃貸人の変更を入居者と管理会社へ通知する必要があります
- 空室が続いている物件は、原状回復や設備更新の費用が先に出ていきます
- 使う予定がない建物は、解体や活用の検討で費用の見積もりが変わります
当社(満室本舗/株式会社ログリンク)は岡山市・倉敷市で賃貸管理と空室対策を行っており、部屋が決まるまで管理手数料はいただきません(家賃が発生している部屋のみが対象です)。相続直後で収支が読みにくい時期に、空室分の管理料が上乗せされない形をとっています。現在の管理会社との解約は、通常3ヶ月前予告の契約が多く、解約書類へのご署名以外の手続きは当社が代行します。
活用の方向を決めかねている段階では、当社が運営する岡山の空き家活用の方法|費用と期間から選び方を決めるや、修繕の考え方をまとめた当社の記事アパートリフォームの費用対効果|空室は塗装と部品交換で狙うも参考になさってください(いずれも当社サイト内の記事です)。管理会社の引き継ぎを検討される場合は賃貸の管理会社変更|デメリットを防ぐ手順で進めるで流れを確認できます。
なお、当社が関わった物件で募集条件の見直しや写真・物件専用ホームページの整備によって空室が埋まった例はありますが、※結果は物件の立地・状態により異なります。
費用を見積もるときの進め方

- 固定資産税の納税通知書、または固定資産評価証明書で評価額を確認する
- 名義変更の原因(相続・贈与・売買)を確定し、該当する税率で登録免許税を試算する
- 必要書類を洗い出し、通数から実費を概算する
- 司法書士に見積もりを依頼し、報酬・税・実費の内訳で提示してもらう
- 贈与や売買を検討している場合は、税理士に他の税金も含めて相談する
相続登記には申請期限があります。費用を確定させてから動くより、まず評価額の確認と相続人の把握から着手されるほうが、結果として選べる手段が多く残ります。
相続で不動産の名義を変える場合、登録免許税はいくらになりますか
名義変更を自分で申請すると、司法書士に頼むより安く済みますか
相続した不動産の名義変更に期限はありますか
名義変更に必要な書類の取得費用はどのくらいかかりますか
相続したアパートの名義を変えたあと、貸し続けるかどうかはどう考えればよいですか
