賃貸管理会社の変更タイミング|繁忙期から逆算して決める
賃貸管理会社の変更タイミングは「解約予告」から逆算して決まります
「管理会社を変えたい」と思った日が、そのまま変更できる日ではありません。多くの管理委託契約には解約予告期間が定められていて、3か月前予告としている契約が実務では多く見られます。つまり、思い立ってから実際に新しい体制へ切り替わるまで、最短でも3か月前後はかかると考えておくのが現実的です。
ここを知らないまま「春の入居シーズンに間に合わせたい」と1月に動き出すと、切り替えが済むのは4月。もっとも問い合わせが集まる時期を、旧体制のまま見送ることになってしまいます。変更のタイミングは「いつ決断するか」ではなく「いつ募集を始めたいか」から逆算して考えるのが基本です。
- 管理委託契約の解約予告は3か月前としている契約が多い
- 決断日ではなく「募集を始めたい月」から逆算する
- 切り替え準備期間中に写真撮影や募集資料の作成を進められる
- 解約手続き自体はオーナーの署名だけで済むケースが一般的
- 入居者への通知や引き継ぎは新旧の管理会社間で進む
なお、解約書類に署名すれば、現管理会社への連絡や入居者への案内は新しい管理会社が代行するのが通例です。オーナーが現管理会社と直接やり合う場面は、思っているより少なく済みます。まずは手元の管理委託契約書を開き、解約予告期間と更新日の欄を確認するところから始めてください。
変更を検討したほうがよいサインを整理する
タイミングを考える前に、そもそも変更すべき状況かどうかを見極める必要があります。感情ではなく、事実で判断できるサインをいくつか挙げます。
- 空室が3か月以上続いているのに、募集状況の報告が届かない
- 提案が「家賃を下げましょう」だけで、他の打ち手が出てこない
- 掲載中の物件写真が暗い・枚数が少ない・スマホ撮影のまま
- 間取り図が古い、手書きのまま更新されていない
- 主要なポータルサイトに掲載されていない、または埋もれている
- 共用部の清掃状況やゴミ置き場の様子を、報告で把握できない
- 毎月の報告書が来ない、または入出金の内訳が読み取れない
- 身に覚えのない費用が精算に混ざっている
ひとつ当てはまるだけなら、まず現管理会社に改善を求めるほうが早い場合もあります。ただし「改善を依頼したのに、次の月も同じ状態」が2〜3回続くようなら、担当者個人ではなく会社の体制の問題である可能性が高くなります。報告書の読み方に不安がある方は賃貸管理の定期報告書の見方とチェック項目もあわせて確認してみてください。空室が長引く原因の切り分けについては空室が続くとき管理会社を変更するタイミングと判断基準で詳しく触れています。
繁忙期から逆算した年間スケジュール

賃貸の募集は、進学・就職・転勤が重なる年明けから春先に問い合わせが集中し、その後は落ち着く、という季節の波があります。この波に合わせると、動き出すべき月が見えてきます。
| 動き出す時期 | やること | 切り替わる目安 |
|---|---|---|
| 9〜10月 | 現状の点検・比較検討・解約予告 | 12〜1月(繁忙期の入口に間に合う) |
| 11〜12月 | 比較検討・解約予告 | 2〜3月(繁忙期の後半) |
| 4〜6月 | 繁忙期の結果を振り返って判断・解約予告 | 7〜9月(秋の動きと次の春に備える) |
| 1〜3月 | 原則は現体制のまま募集に集中 | 繁忙期終了後に判断 |
もっとも動きやすいのは9〜10月です。この時期に解約予告を出しておけば、年末年始から始まる問い合わせの山に、新しい募集体制で臨めます。逆に、繁忙期の真っ最中に切り替えを進めると、引き継ぎと募集が重なって現場が慌ただしくなりやすい点は頭に入れておいてください。
「今年の春も決まらなかった」と感じた4〜6月は、次の春に向けて動き出す最良のタイミングです。切り替え準備の3か月を、写真の撮り直しや募集資料の作り直し、費用を抑えたリフォームの検討に充てられるからです。
変更の手順を時系列で確認する

- 管理委託契約書を確認する(解約予告期間・更新日・違約金条項・原状回復や敷金の扱い)
- 候補となる管理会社に、現状の空室と収支を見せて対策の提案を受ける
- 提案内容・報酬体系・報告の頻度を比較し、依頼先を決める
- 新しい管理会社と契約し、解約予告の書類に署名する
- 現管理会社への通知、入居者への案内、鍵・書類・敷金・保証委託の引き継ぎを進める
- 切り替え日までの期間に、写真撮影・物件資料・掲載内容を整える
- 管理開始日から新しい体制で募集と管理をスタートする
ポイントは5と6を同時に進められることです。実務では、契約後すぐに撮影や物件情報の整理に取りかかり、正式な管理開始日を迎えるころには募集の準備が終わっている、という進め方をとります。3か月の予告期間を「待ち時間」にしないことが、切り替えの効果を早く出すコツです。
引き継ぎで漏れやすいのは、入居者の連絡先・保証会社の契約内容・鍵の本数・過去の修繕履歴です。特に修繕履歴は、次の入居募集で設備の説明をするときに効いてきますので、引き継ぎ資料に含まれているか確認しておくと安心です。
変更にかかる費用と、事前に確認しておくこと
管理会社の変更そのものに大きな費用がかかることは多くありませんが、契約内容によっては負担が発生します。事前に確認したい項目を挙げます。
- 解約予告期間を守らない場合の違約金・予告期間分の管理料
- サブリース(一括借上げ)契約の場合の解約条件
- 敷金・保証金の返還や引き継ぎの方法
- 先払いしている点検費用・保険料の精算
- 新しい契約での管理料以外の実費(振込手数料、消防設備点検、定期清掃、貯水槽清掃など)
特にサブリース契約は、通常の管理委託契約と解約のルールが大きく異なります。契約書の解約条項を読まずに動き出すのは避けてください。費用面の詳細は賃貸管理会社の乗り換え費用|違約金と実費の見方がわかるで整理しています。
あわせて確認したいのが、空室の部屋にも管理料がかかるかどうかです。家賃が発生している部屋だけを対象にする契約であれば、空室が埋まるまでの間、オーナーと管理会社の利害がそろいます。報酬体系は「率が何%か」だけでなく「何に対してかかるのか」で比べると、実態が見えやすくなります。
今は変更を急がないほうがよいケース
変更が常に正解というわけではありません。次のような場合は、いったん立ち止まって考えたほうがよいでしょう。
- 担当者が替わったばかりで、まだ改善の余地を試していない
- 空室の原因が管理会社ではなく、設備や室内の状態にある
- 大規模修繕や相続手続きの途中で、体制を動かすと調整が増える
- 繁忙期の真っただ中で、募集の手を止めたくない
空室の原因が室内や共用部にある場合、会社を変えただけでは状況は変わりません。コンロの油汚れ、鏡のうろこ、共用部の蜘蛛の巣、ポストに溜まったチラシ──こうした点は、いまの管理会社に依頼して改善できることもあります。岡山市のアパートで空室が埋まらない原因を現場目線で点検を参考に、まず原因の切り分けをしてみてください。
「会社を変える」より先に「原因を特定する」ほうが、遠回りに見えて確実です。
次の管理会社を選ぶときに見るポイント
タイミングが決まったら、次は依頼先の見極めです。判断材料になる項目を挙げます。
- 賃貸住宅管理業の登録があるか(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律により、管理戸数200戸以上の事業者には国土交通大臣の登録が義務づけられています)
- 空室の原因について、現地を見たうえで具体的な指摘があるか
- 提案が家賃の値下げ以外にもあるか(写真・物件資料・掲載面・設備・ターゲット設定)
- 報告の頻度と内容が事前に示されるか
- 管理料以外の費用の内訳が明示されるか
- 緊急時の連絡体制(受付時間・夜間対応)が確認できるか
- 他社の仲介会社にも紹介してもらえる情報整備をしているか
3番目は特に大切です。岡山市内で実際にあった例では、築30年・25戸のRC造アパートで13室が空いていた物件について、募集条件の見直し、費用を抑えたリフォームと清掃、入居者の仲介手数料をなくす工夫、ポータルサイトの掲載改善、社会人女性にターゲットを絞った内装変更を組み合わせ、6か月で満室に至りました。別の物件では「家賃を下げるしかない」と言われていた長期空室が、プロによる写真撮影と物件専用ホームページの作成で反響が増え、1か月で決まった例もあります。もちろん結果は立地や建物の状態によって変わりますが、打ち手は値下げだけではないということは、判断の参考になるはずです。
値下げ以外の考え方は家賃を下げずに賃貸空室を埋める方法と見せ方、費用対効果を意識した改修はアパートリフォームの費用対効果|空室は塗装と部品交換で狙うもご覧ください。
賃貸管理会社の解約予告はどれくらい前に出す必要がありますか
管理会社を変更すると入居者に迷惑がかかりませんか
入居の繁忙期に管理会社を変更しても問題ありませんか
管理会社を変更してから募集が始まるまでどれくらいかかりますか
サブリース契約でも管理会社を変更できますか
