空き家の解体の補助金|自治体制度の探し方と申請手順がわかる
使っていない実家や相続した空き家をそのままにしておくと、草木の手入れや近隣への気遣いが続きます。かといって解体には数十万円から数百万円単位の費用がかかり、なかなか踏み切れないというご相談をよくいただきます。この記事では、岡山市・倉敷市で賃貸管理と空き家活用を行っている当社(満室本舗/株式会社ログリンク)が、空き家の解体に使える補助金の調べ方と申請の順番、そして解体の前に検討しておきたい「貸す・売る」という選択肢の比べ方をまとめます。
なお、補助金の金額や要件は自治体ごとに違い、しかも年度ごとに見直されます。この記事では金額を断定せず、ご自身の市町村の公式ページで確認する手順をお伝えします。
空き家の解体を考えたとき、最初に確認したいこと
結論から申し上げると、解体の見積もりを取る前に確認しておくべきことが3つあります。順番を間違えると、補助金を使えたはずの工事が対象外になってしまうことがあるためです。
- 自分の市町村に空き家の解体(除却)を対象にした補助制度があるか
- その制度が「着工前の申請・交付決定」を条件にしていないか
- 解体後の土地をどうするか(売る・貸す・駐車場・そのまま保有)の見通し
特に3つ目は見落とされがちです。建物を解体すると、その土地は住宅用地ではなくなるため、固定資産税の住宅用地特例(地方税法に基づく課税標準の軽減)の対象外になります。解体は「費用が出ていく一度きりの支出」ではなく、その後の税負担や土地の使い道までを含めた判断になります。実際にご自身のケースで税額がどう変わるかは、市町村の資産税担当課や税理士にご確認ください。
放置し続けた場合のリスクも把握しておく
空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され(2023年12月施行)、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある「管理不全空家等」という区分が設けられました。市町村から勧告を受けた管理不全空家等・特定空家等の敷地は、住宅用地特例の対象から除外されます。つまり、手を打たずに放置していても税負担が変わる可能性があるということです。
空き家の解体に使える補助金の探し方

空き家の解体補助金は、国が全国一律で配っているものではなく、市区町村が窓口になっている制度がほとんどです。ですから探し方の基本は「国のサイトを見る」ではなく「自分の市町村の公式サイトを見る」になります。
公式ページにたどり着くまでの手順
- 検索窓に「(市町村名) 空き家 除却 補助」「(市町村名) 老朽危険建物 解体 補助金」と入れる。制度名は「除却」「解体」「除去」「危険家屋」など自治体ごとに表現が違うため、複数のことばで試します。
- 検索結果のうち、ドメインが lg.jp(自治体の公式ドメイン)のページを開く。まとめサイトの金額は古いことがあります。
- ページ内で「令和◯年度」の表記と、受付期間・予算枠・申請の締切を確認する。
- 要綱・交付要領のPDFがあれば必ず開き、対象建物・対象者・対象工事の定義を読む。
- 不明点は担当課に電話で確認する。要件の解釈は窓口が最終判断です。
なぜ「今年度のページ」を見る必要があるのか
解体補助は年度予算で運用されるため、募集期間や上限額、要件が年度ごとに変わります。前年度に制度があっても今年度は募集がない、逆に今年度から新設された、ということも起こります。検索して出てきた金額は、必ず今年度の公式ページで上書きして確認してください。2026年度時点でも、この「年度ごとに見直される」という性質は変わりません。
市町村以外の窓口も確認しておく
- 都道府県の空き家対策の相談窓口(市町村制度の一覧を掲載していることがあります)
- 地域の空き家バンク(登録すると別の支援が用意されている場合があります)
- 市町村の建築指導・住宅政策の担当課(危険度の判定が要件の制度は、この部署が担当のことが多いです)
補助の対象になりやすい空き家の条件
制度の中身は自治体ごとに異なりますが、公開されている要綱を読むと共通して置かれやすい条件があります。あくまで傾向であり、最終的にはご自身の市町村の要件で判断してください。
要綱で共通して見られる確認項目
| 確認される項目 | よく見られる条件の例 |
|---|---|
| 建物の状態 | 一定期間以上使われていない、老朽化・危険度の判定を受けている |
| 建築時期 | 旧耐震基準の時期に建てられたものに限る制度がある |
| 用途・構造 | 木造の住宅に限る、併用住宅は住宅部分の割合で判断するなど |
| 申請できる人 | 所有者本人、または相続人。共有の場合は他の共有者の同意書 |
| 税の状況 | 市町村税の滞納がないこと |
| 工事業者 | 解体工事業の登録または建設業許可があること、市内業者に限る場合も |
| 時期 | 交付決定の前に着工していないこと、年度内に完了報告できること |
対象から外れやすいのはどんなときか
要件を満たしていそうに見えても、次のような事情で対象外になることがあります。あてはまりそうな場合は、申請書を作り込む前に担当課へ相談しておくと手戻りが減ります。
- すでに工事契約を結び、着工してしまっている
- 建物が住宅ではなく、倉庫・店舗・工場などとして課税されている
- 相続登記が済んでおらず、申請者が所有者として確認できない
- 共有名義で、他の共有者の同意が取れていない
- その年度の予算枠がすでに埋まっている、または受付期間を過ぎている
このなかで最もつまずきやすいのが「交付決定の前に着工していないこと」です。見積もりを取って業者と話が進み、先に工事を始めてしまうと、要件を満たさなくなる制度が少なくありません。急いでいるときほど、先に窓口へ一報を入れておくことをおすすめします。
申請から入金までの流れと必要書類

補助金は工事が終わってから受け取る「後払い」が基本です。工事代金はいったん自己資金や借入で立て替える前提で資金計画を立ててください。
- 担当課に相談し、対象になりそうか確認する(建物の写真や住所を用意しておくと話が早いです)
- 現地調査・危険度判定を受ける(制度によります)
- 解体業者から見積書を取る(補助対象工事と対象外工事が分かれて記載されているか確認)
- 交付申請書と添付書類を提出する
- 交付決定通知を受け取る
- 工事契約・着工
- 工事完了、完了実績報告書と工事写真・領収書などを提出
- 額の確定通知を受け、請求書を出して入金
用意することが多い書類
- 登記事項証明書(建物・土地)
- 固定資産税の課税明細や評価証明
- 相続が済んでいない場合は相続関係を示す書類、共有者の同意書
- 建物の現況写真(外観・各面・危険箇所)
- 工事見積書、業者の許可・登録の写し
- 市町村税の納税証明書
相続登記が済んでいないと申請が進まないことがあります。名義の切り替えにどのくらい実費がかかるかを先に把握しておきたい方は、当社サイトの不動産の名義変更の費用|相続・贈与・売買で比べるもご覧ください(当社が運営するブログ記事です)。なお、登記や相続手続きの可否・進め方は司法書士へご相談ください。当社は宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者であり、登記や税の個別判断はいたしかねます。
期間の見通しの立て方
申請から入金までにどれだけかかるかは、現地調査の有無、書類審査の体制、工事の規模によって変わるため、一律の日数は示せません。ご自身のケースで見通しを立てるには、次の3点を担当課に確認するのが確実です。
- 申請書の提出から交付決定通知までの目安期間
- 完了実績報告の提出期限(多くは年度内での完了報告が条件)
- 額の確定から入金までにかかる目安期間
年度末が近いほど、着工から完了報告までを年度内に収めきれるかが最大の関門になります。相談の初回に「今から申請して今年度に間に合いますか」と率直に聞いておくと、無理のない段取りが組めます。
解体費用の見積もりで確認したいポイント
解体費用は建物の構造、延床面積、前面道路の広さ、隣家との距離、残置物の量で大きく変わります。坪単価の相場をうのみにせず、複数社の見積書を同じ条件で比べることが大切です。
見積書で分けて確認する項目
- 本体解体費と、付帯工事(ブロック塀・門扉・庭木・カーポート・浄化槽)が分かれているか
- 残置物(家具・家電・布団など)の処分が含まれているか、別料金か
- アスベスト含有建材の事前調査と、含有していた場合の追加費用の扱い
- 廃棄物の処分費が数量精算か一式か、増えた場合の取り決め
- 建物滅失登記の手配を業者が代行するか、自分で行うか
- 近隣あいさつ、養生、道路使用の手配の有無
アスベストについては、大気汚染防止法の改正により、一定規模以上の解体・改修工事で事前調査結果の報告が義務づけられています。「調査費が含まれているか」を見積もり段階で聞いておくと、あとからの追加を減らせます。
総額だけで比べない
安く見える見積書ほど、残置物処分や付帯工事が「別途」として外れていることがあります。比較するときは、各社に同じ現地条件・同じ範囲で出してもらい、含まれていない項目を書面で示してもらってください。補助金を使う場合は、対象工事と対象外工事が分けて書かれていないと申請書に転記しづらく、窓口でやり直しになることもあります。
解体する前に、貸す・売るという選択肢と比べる

補助金を使っても解体には自己負担が残り、土地の税負担も変わります。そのため当社では、建物がまだ使える状態であれば、解体だけを前提にせず「貸す」「売る」も並べて比べていただくようお伝えしています。
| 解体する | 貸す | 売る | |
|---|---|---|---|
| 初期の持ち出し | 解体費(補助があれば一部軽減) | 修繕・清掃費(プランにより負担割合が変わる) | 基本は少ない(測量・残置物処分が必要な場合あり) |
| その後の収支 | 収入なし。土地の維持費と税負担が続く | 賃料収入が入る。管理の手間は委託可能 | 手放すため以後の負担なし |
| 向いている状態 | 倒壊のおそれがある、再利用が難しい | 手を入れれば住める、周辺に賃貸需要がある | 早く整理したい、土地の利用予定がない |
当社(満室本舗)では、岡山市・倉敷市を対象に空き家活用のプランをご用意しています。建物の再生費用の負担割合を0・50・100の3つから選べる形で、契約期間は3〜15年です。負担0のプランなら、オーナー様が改修費を出さずに貸し出す形を検討できます。※ご提案できる内容とプランの可否は、建物の状態・立地・需要により異なります。すべての空き家で活用できるわけではありません。
活用する場合の費用と期間の考え方は、当社サイトの岡山の空き家活用の方法|費用と期間から選び方を決めるでも詳しくご案内しています(当社サービスのご紹介ページです)。相続した建物が賃貸物件だった場合は、相続したアパートの空室経営、始め方の手順もあわせてご覧ください。
判断に迷ったときの順番
- 建物の状態を確認する(雨漏り・傾き・シロアリ・給排水)
- 周辺の賃貸・売買の動きを調べる
- 貸した場合に必要な工事の概算を出す
- 解体費(補助後の実質負担)と比べる
- そのうえで、保有し続ける年数の見通しから決める
貸す場合にかける費用の考え方
貸すと決めた場合も、全面改修が前提とは限りません。当社は賃貸物件の空室対策でも、全面改修ではなく塗装や部品交換で費用対効果を優先する提案を行っています。同じ考え方は空き家にもあてはまり、どこまで直せば借り手の目に留まるかを先に見極めることが、持ち出しを抑える近道です。工事の絞り込み方はアパートリフォームの費用対効果|空室は塗装と部品交換で狙うでも当社の考え方をご紹介しています。
岡山市・倉敷市で相談するときの窓口
岡山市・倉敷市にも空き家に関する相談窓口や支援制度が設けられていますが、制度名・対象・金額・受付期間は年度ごとに変わります。必ず各市の公式サイト(岡山市・倉敷市それぞれのlg.jpドメイン)で今年度の内容をご確認のうえ、担当課へ直接お問い合わせください。この記事で金額を書かないのは、確認できていない数値をお伝えしないためです。
当社にご相談いただける範囲
建物を貸す・売るほうも含めて整理したいという場合は、当社でもご相談を承っています。当社が対応できるのは、次の範囲です。
- 建物の状態と周辺の需要を踏まえた、貸す・売るの見立て
- 岡山市・倉敷市を対象とした空き家活用プラン(再生費用の負担0・50・100/契約3〜15年)のご説明
- 賃貸として募集する場合の写真撮影・物件専用ホームページ制作などの空室対策
当社は岡山市北区田中に事務所を構え、宅地建物取引業(岡山県知事(1)第5933号)と賃貸住宅管理業(国土交通大臣(1)第001348号)の登録事業者として、岡山市・倉敷市を対応エリアにしています。電話は086-250-7130、受付は10:00〜18:00(水・日・祝休)です。補助制度そのものの可否は自治体が判断しますので、制度の適用については必ず各市の担当課にご確認ください。
解体か活用かで迷っている段階では、まず「その建物に借り手がつく余地があるか」を見立てるところから始めると、比較の土台が整います。
解体工事を始めた後から補助金を申請できますか
空き家を解体すると固定資産税はどうなりますか
補助金の対象になる空き家かどうかは誰が判断しますか
解体業者を選ぶときは何を確認すればよいですか
解体せずに貸すことはできますか
