清掃業者の選び方|賃貸オーナーが比べる費用と作業範囲
賃貸オーナーが清掃業者を探すとき、最初に決めること
「清掃 業者」と検索して比較を始める前に、まず決めておきたいことがあります。賃貸物件の清掃は、どこを・どの頻度で・誰の目に触れるために行うのかを先に決めると、業者選びの迷いがほとんど消えます。逆にここが曖昧なまま見積もりを取ると、金額だけが並んで比べようがなくなってしまいます。
- 清掃の対象は「共用部」「専有部(退去後)」「設備まわり」で分けて考える
- 頻度が法令や設備で決まるもの(貯水槽など)と、任意で決めるものを区別する
- 空室が続いているなら、内見の動線上にある場所を優先する
- 見積もりは金額より先に「作業範囲」と「回数」をそろえて比べる
- 単発で頼むのか、継続して任せるのかを決めてから声をかける
依頼の目的は「維持管理」と「印象づくり」に分かれる
賃貸経営で清掃を依頼する目的は、大きく分けて二つあります。ひとつは建物と設備を傷ませないための維持管理、もうひとつは内見に来た方に「ここに住みたい」と思ってもらうための印象づくりです。前者は法令や設備の都合で頻度が決まる部分があり、後者は募集の時期や空室の状況で優先順位が変わります。
同じ「清掃」という言葉でも、この二つは判断の軸が違います。維持管理は「やらないと将来の修繕費が増えるか」で考え、印象づくりは「内見者の目に触れるか」で考えると整理しやすくなります。
当社が現地で最初に見るのは室内ではなく共用部です
当社(満室本舗)が岡山市・倉敷市で空室のご相談を受けるとき、現地で最初に確認するのは室内よりも共用部です。共用部の蜘蛛の巣、ポストに溜まったチラシ、散らかったゴミ置き場は、内見に来た方が部屋を見る前に必ず通る場所だからです。清掃業者を探す目的がはっきりしていれば、依頼する範囲も自然と決まってきます。
清掃業者にはどんな種類があるか|依頼先の選択肢
清掃を頼める相手は一種類ではありません。得意な作業が違うため、同じ作業でも見積もりの考え方が変わります。まずは、どの種類の相手に声をかけるのかを決めてください。
| 依頼先 | 得意な領域 | 向いている場面 | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| 建物総合管理(ビルメンテナンス)会社 | 共用部の日常清掃・定期清掃、設備点検との組み合わせ | 継続して任せたい、報告書も欲しい | 小規模物件は最低契約条件が合わないことがある |
| ハウスクリーニング専門会社 | 退去後の室内、水まわり、エアコン、レンジフード | 退去のたびに単発で依頼したい | 共用部の継続清掃は対象外のこともある |
| 地域の個人事業者・便利屋 | 小回りのきく作業、単発の片付け | 戸数が少ない、依頼が不定期 | 保険加入の有無、代替要員の有無を確認する |
| シルバー人材センター等 | 掃き掃除・ゴミ置き場整理など軽作業 | 週数回の簡易な巡回清掃 | 受託条件・作業範囲は地域の事務局で異なる |
| 管理会社経由 | 清掃と入居者対応・設備不具合の連動 | 遠方在住、手配の手間を減らしたい | 管理業務に含まれる範囲と別費用の線引きを確認 |
探し方は「現地を見に来られる距離か」で絞る
清掃は毎回人が現地に行く仕事です。インターネットで広く探すよりも、物件から通える範囲の事業者に絞ったほうが、急な不法投棄や台風後の落ち葉といった突発対応を頼みやすくなります。検索、地域の同業オーナーからの紹介、管理会社からの紹介のいずれでも構いませんが、最後は必ず現地を見てもらったうえで見積もりを出してもらってください。図面と戸数だけで出た金額は、実際の作業量とずれやすいためです。
- 物件の所在地から、片道どのくらいで来られるか
- 担当者が下見に来るか、写真だけで見積もるか
- 同種の賃貸物件(マンション・アパート)の受託実績があるか
- 作業者が休んだときの代替体制があるか
清掃業者に依頼できる作業の種類と違い

清掃業者と一口に言っても、扱う作業は同じではありません。「日常清掃」「定期清掃」「原状回復のハウスクリーニング」「設備の法定清掃」は別物で、得意な業者も価格の考え方も変わります。まずはこの違いを押さえてください。
| 種類 | 主な作業 | 頻度の目安 | 依頼する場面 |
|---|---|---|---|
| 日常清掃 | 共用廊下・階段の掃き掃除、ゴミ置き場の整理、ポストまわり、電球確認 | 週1〜月2回など契約で設定 | 入居者の生活環境維持、内見時の印象づくり |
| 定期清掃 | 床面の機械洗浄・ワックス、高所や側溝、外部階段の洗浄 | 数か月〜年単位で設定 | 汚れの蓄積を落とす、経年の見た目改善 |
| 原状回復清掃(ハウスクリーニング) | 退去後の室内全体、水まわり、レンジフード、エアコン | 退去のたび | 次の募集開始前 |
| 設備の清掃・点検 | 受水槽・高置水槽の清掃、排水管高圧洗浄など | 設備・法令に応じて | 建物の維持、水質・排水の管理 |
頻度を自分で決められないものがある
受水槽の有効容量が10立方メートルを超える簡易専用水道については、水道法施行規則第55条で「1年以内ごとに1回、定期に、水槽の掃除を行うこと」と定められています。この種の作業は「今年は空室が多いから見送る」という判断ができません。消防用設備等の点検も消防法に基づく義務があり、清掃とは別枠で考える必要があります。
当社が管理をお預かりする物件では、共用部清掃や巡回点検に加え、消防設備点検・貯水槽清掃といった維持管理も建物の状況に応じて手配し、毎月の定期報告書で実施内容をオーナー様にお伝えしています。ご自身で業者を手配される場合も、「任意で決める清掃」と「決められた周期の清掃」を分けて年間の予定を組んでおくと抜けが防げます。
専有部の清掃は退去のたびに発生する
退去後の室内清掃は、募集の第一印象に直結します。コンロの油汚れ、浴室の鏡のうろこ、サッシ溝の虫の死骸といった細かい部分は、写真では目立たなくても内見では必ず気づかれます。日常清掃を任せている業者が室内清掃も対応できるとは限らないため、依頼前に確認しておきましょう。
なお、退去時の清掃費用を入居者と貸主のどちらが負担するかは、契約内容と汚損の原因によって扱いが分かれます。考え方の整理は当社の記事「原状回復のガイドラインで大家負担になる範囲と、経過年数の考え方」にまとめています(当社サービスのご案内も含むページです)。
清掃業者の費用はどこを見て比べるか
費用は、建物の規模・共用部の広さ・階数・作業の頻度・立地(駐車スペースの有無や搬入経路)で大きく変わります。相場表の金額をそのまま当てはめるより、複数社に同じ条件を伝えて見積もりを取るほうが、自分の物件にとっての適正がわかります。
見積もりを頼むときにそろえて伝える情報
見積もりを依頼するときは、次の情報をそろえて同じ内容で伝えてください。条件が違えば金額が違うのは当然で、比べる意味がなくなってしまいます。
- 物件の所在地、構造、階数、総戸数
- 清掃してほしい範囲(廊下・階段・エントランス・ゴミ置き場・駐輪場・外周など)
- 希望する頻度(週◯回、月◯回、年◯回)
- ゴミ出しの代行を含めるかどうか、収集日と地域のルール
- 水道・電源を貸せるか、資材の保管場所があるか
- 作業報告の方法(写真付き報告の有無)
見積書で確認しておきたい項目
- 作業範囲が「一式」でまとめられていないか(どこまでが含まれるか明記されているか)
- ゴミ置き場の清掃やゴミ出し代行が含まれるか、別料金か
- 交通費・駐車場代・資材費が別途になっていないか
- 年間の回数と、祝日や悪天候時の振替の扱い
- 契約期間と解約の予告期間
- 作業中の破損に備えた保険への加入状況
- 消費税の扱い(税込か税別か)と請求の締め日
金額差が出やすいのは「ゴミ置き場」と「報告」
最も差が出やすいのは「ゴミ置き場」と「報告の有無」です。安く見えた見積もりが、ゴミ置き場は範囲外だった、報告写真は別料金だった、というのはよくある行き違いです。ゴミ置き場が募集に与える影響については、当社の記事「アパートのゴミ置き場が空室に響く|内見前に整える」でも整理していますので、あわせてご覧ください。
また、定期清掃の床ワックスや高圧洗浄は、初回だけ汚れの蓄積が多く手間がかかるため、初回と2回目以降で金額が変わることがあります。年額で比べるときは、初回費用が含まれているかを確認してください。
清掃業者の選び方|賃貸物件ならではのチェックポイント
清掃の技術そのものに大きな差がつきにくい作業もあります。それでも業者によって満足度が変わるのは、賃貸物件という現場の事情をどこまで理解しているかによるところが大きいためです。
入居者・近隣との接点をどう扱うか
共用部の清掃は、入居者の生活時間帯と重なります。早朝の騒音、駐輪場の一時移動、ゴミ出しルールの地域差など、現場での配慮が必要な場面が少なくありません。作業員が固定されるのか、毎回変わるのかも、事前に確認しておきたい点です。
報告のかたちが決まっているか
オーナー様が遠方に住んでいる場合、実施の事実は報告でしか確認できません。作業日・作業者・写真が残る形で報告される仕組みがあるかどうかは、契約前に必ず聞いてください。あわせて、電球切れ・不法投棄・共用部の破損といった気づきを報告してもらえるかも重要です。清掃は建物を定点観測する機会でもあります。
清掃だけで解決しないことを言ってくれるか
清掃で改善するのは「汚れ」であって、間取りや設備、募集条件の問題は清掃では変わりません。ここを混同したまま清掃の回数だけ増やしても、空室は動かないことがあります。現地を見たうえで、清掃で改善できる範囲とそうでない範囲を分けて話してくれる相手のほうが、結果的に無駄な出費が減ります。
問い合わせのときに聞いておく質問
- 同じ規模の賃貸物件を、近隣で何件受託していますか
- 作業者は固定ですか。休みのときの代替はどうなりますか
- 報告は写真付きですか。頻度と提出方法を教えてください
- ゴミ置き場の清掃とゴミ出し代行は、見積もりに含まれますか
- 作業中に破損が起きた場合の保険に入っていますか
- 契約期間と、途中解約の予告はどのくらい前ですか
契約前後で起きやすい行き違いと、確認する箇所
清掃の依頼でつまずくのは、技術面よりも「どこまでやるか」の認識違いです。契約書と仕様書に書かれていない作業は、頼んだつもりでも行われません。
- 範囲の書き方が「共用部一式」になっていて、外周・植栽まわり・駐輪場が入っていなかった
- ゴミ出しは含まれるが、収集日以外に出された粗大ゴミの片付けは別料金だった
- 台風や積雪の後の落ち葉・飛散物の片付けが、臨時対応扱いで追加請求された
- 自動更新の契約で、値上げの通知に気づかないまま次年度に入っていた
- 解約の予告期間が長く、切り替えたい時期に間に合わなかった
- 共用部の鍵や水道の使用について取り決めがなく、作業のたびに立ち会いが必要になった
仕様書は、作業項目ごとに「対象箇所」「作業内容」「回数」が並んだ表の形になっているのが望ましい形です。口頭で合意した内容は、必ず書面に落としてもらってください。
自分で清掃するか、業者に頼むか
戸数の少ない物件では、オーナー様ご自身が掃き掃除をされているケースも多くあります。自主清掃か委託かは、費用よりも「継続できるか」と「抜けが起きないか」で判断すると決めやすくなります。
| 比べる点 | 自分で清掃する | 業者に委託する |
|---|---|---|
| 費用 | 資材費と移動の負担 | 契約に応じた清掃費 |
| 頻度の安定 | 体調・予定に左右される | 契約回数で固定される |
| 高所・機械作業 | 脚立作業や機械洗浄は難しい | 専用機材で対応できる |
| 記録 | 残りにくい | 報告書・写真で残る |
| 入居者からの見え方 | 顔が見える利点がある | 定期的に人が入る安心材料になりにくい場合もある |
現実的には、日常の掃き掃除はご自身、床の機械洗浄や高圧洗浄は年数回だけ業者、という組み合わせも有効です。物件が遠方にある、複数棟を所有している、本業が忙しいといった事情があるなら、委託に切り替えたほうが頻度は安定します。
清掃業者に直接頼むか、管理会社に任せるか
清掃の手配には二つの道があります。オーナー様が清掃業者と直接契約する方法と、管理会社の業務として手配してもらう方法です。どちらが良いかは、物件までの距離と、どこまで自分で動けるかで決まります。
| 比較する点 | 直接契約 | 管理会社に任せる |
|---|---|---|
| 手配の手間 | 業者選定・契約・支払いを自分で行う | 管理業務の中で手配される |
| 費用の見え方 | 清掃費が単独で把握できる | 管理内容に含まれる範囲と別費用の切り分けを確認する |
| トラブル時 | オーナーが直接やり取り | 管理会社が窓口になる |
| 入居者対応との連動 | 別々に動く | クレームや設備不具合と一体で動きやすい |
当社の場合の線引き
当社では、管理をお預かりする物件の建物保守管理として共用部清掃・巡回点検を行い、消防設備点検や貯水槽清掃などはご希望に応じて維持管理費用として別途ご案内しています。管理手数料以外にかかる費用は、振込手数料と、この維持管理にかかる費用です。何が管理業務に含まれ、何が別費用になるのかは会社によって考え方が違いますので、今の管理会社にも同じ質問をしてみてください。
「清掃を頼んでいるはずなのに現地がきれいになっていない」という状態が続くようなら、清掃業者よりも管理の体制側に原因があるかもしれません。判断の目安は、当社の記事「空室が続くとき管理会社を変更するタイミングと判断基準」にまとめています(当社への管理切り替えのご案内も含みます)。
清掃を空室対策につなげるなら、内見の動線から考える

清掃にかけられる予算には限りがあります。空室を埋めることを目的にするなら、お客様が物件に着いてから部屋に入るまでの順番で優先順位をつけるのが現実的です。
- 物件前の外周と植栽、看板まわり(車を降りて最初に見る場所)
- エントランス・ポスト(チラシの溜まりは管理の印象を左右します)
- ゴミ置き場・駐輪場(生活の想像が働く場所)
- 共用廊下・階段(部屋に向かう動線)
- 室内の水まわりとサッシ溝(滞在時間が長く、細部を見られる場所)
当社が空室のご相談で現地を確認する際も、この順で見ていきます。実際の現場では、写真の枚数が足りない、間取り図が古い、募集条件が周辺と噛み合っていないなど、清掃以外の原因が重なっていることも珍しくありません。清掃はそのうちの一つを解消する手段であって、単独で結果を約束するものではない点はご理解ください(※結果は物件の立地・状態により異なります)。
清掃で届かない汚れは、別の工事の検討対象になる
外壁のチョーキングや雨だれ、鉄部の錆は、清掃では元に戻りません。洗浄で改善する範囲と塗装が必要な範囲の切り分けは、当社の記事「アパートの外壁塗装の費用|空室が続くときの優先順位」を参考にしてください(当社のリフォーム提案のご案内を含みます)。
家賃を下げる前にできることを整理したい方は、当社の記事「家賃を下げずに賃貸空室を埋める方法と見せ方」や「岡山市のアパートで空室が埋まらない原因を現場目線で点検」、条件そのものを見直す段階なら「家賃相場の調べ方|空室が続くとき、下げる前の見直し順」もあわせてお読みください。いずれも当社が運営するページです。
依頼前に手元でやっておくと話が早いこと
清掃業者に問い合わせる前に、次の準備をしておくと、初回のやり取りだけで具体的な提案が返ってきやすくなります。
- 共用部の現状をスマホで撮っておく(外周・エントランス・ゴミ置き場・廊下・階段)
- 過去に清掃を頼んでいた場合、その内容と頻度、金額を確認する
- ゴミ収集日と地域のルールを確認する
- 受水槽・消防設備の直近の実施時期を確認する
- 空室の部屋番号と、空いている期間を書き出す
特に最後の項目は大切です。空室が短期間なのか、半年以上続いているのかで、打つべき手はまったく違います。清掃で印象が変わる段階なのか、募集条件や見せ方から見直す段階なのかを切り分けたうえで、依頼先に相談してみてください。物件全体の見直し順を整理したい場合は、当社の記事「岡山のアパート経営|空室が長引く物件の共通点と見直す順番」も手元に置いておくと、清掃の位置づけが決めやすくなります。
アパートの共用部清掃は、どのくらいの頻度で頼むのが適切ですか。
清掃業者の見積もりを比べるとき、どこを見れば違いがわかりますか。
清掃業者はどんなところに頼めますか。
退去後の室内清掃と、共用部の清掃は同じ業者に頼めますか。
清掃をきれいにすれば空室は埋まりますか。
